中小企業には、ITに投資をするための判断材料が、多くありません。
大企業は市場レポートを購入したり、専門の情報システム(IT)部門が活躍したり、豊富な情報を元に投資判断を行っています。それと比べると、中小企業にはITに関する情報が少ないものです。
この記事では、何にいくら投資すれば良いのか?目安をご紹介します。
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IT投資額の目安
一般的にIT投資額は「売上の1%が目安」と言われています。もちろん、ITそのものがビジネスの基幹である金融業などは高く、そうでない企業(例:建築など)は低い傾向があります。あくまでも全業種の平均値です。
ちなみに日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)発表のデータによると、2000年には2.66%、2011年には1.04%でした。リーマンショックにより2008~2009年に投資額が大きく落ち込んだためです。その後、2014年度が1.11%、2015年度が1.21%で回復傾向が見られます。
このデータは大企業が主となっているため、参考値に過ぎませんが、中小企業にとっても参考になるものです。仮に売上の1%を目安とするなら、売上1億円の企業で年間100万円のIT投資となります。
ただ、この目安はデジタル化・IT化が進むビジネスの現状を考えると、ちょっと少なすぎるかなと感じています。積極的にIT投資を行っている企業の方が、売上高・経常利益ともに高いというデータもありますから、もっと投資しても良いでしょう。個人的な感覚では、3%くらいは投資して良いのではと思います。
(中小企業の成長と投資行動に関する調査報告書)
何に投資するか?攻めと守りのバランス
一言でIT投資と言っても、様々な投資があります。まずは大きく分けると「攻め」か「守り」かです。今回も、日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)発表のデータを元に、何に投資をするのか?を見てみましょう。
攻めのIT投資
以下のようなものが「攻め」のIT投資と捉えられています。
- ビジネスモデルの変革
- 商品・サービスの差別化・高付加価値化
- 企業間(グループ、業界、取引先間)の情報連携
- 顧客重視の経営
- 営業力の強化
- 業務プロセスのスピードアップ(リードタイム短縮等)
- グローバル化への対応
- 迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)
- 社内コミュニケーションの強化
守りのIT投資
一方、守りのIT投資は以下のようなものです。
- BCP(事業継続計画)の見直し
- 経営の透明性の確保(内部統制、システム監査への対応等)
- 企業としての社会的責任の履行(セキュリティ確保、個人情報の保護等)
- IT開発・運用のコスト削減
- 業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)
かつてと異なるのは、「ビジネスモデルの変革」というようなビジネスそのものの課題が、IT投資と直結してきたことです。ITがあることを前提としたビジネスが増えています。典型的なのはECサイトです。これからますます、ビジネスのIT化・デジタル化が進みます。
ITツールの利用状況
ちょっと話が抽象的すぎて分かりにくかったかもしれません。もう少し具体的なITツールの利用状況を見てみましょう。
実は中小企業、特に小規模企業に注目すると、まだまだITツールは活用されていません。特にスケジュール・業務情報共有・コミュニケーションというビジネスにおける基本が、IT化されていないのです。
まずはオフィスソフト(ワード、エクセルなど)、電子メール、グループウェア(スケジュール・業務情報共有・コミュニケーション)は揃えましょう。その上で、個人的にオススメしたいのは、攻めの項目にあった「顧客重視の経営」です。このブログでさんざん書いてきていることですね(こちら)。顧客情報を有効に活用することによって、営業力も伸びます。
ITツールは目的ではなく、何かを達成するための手段です。経営上の課題を整理しつつ、「それはITで解決できないだろうか?」と聴いてみるのが、一番良いでしょう。
- IT投資の目安は売上の3%
- IT投資は、攻めと守りのバランスを取る
- 最低限のツールを活用しつつ、顧客情報活用(CRM)がお勧め
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