仕事術

労働基準法が「成長の壁」になっているかもしれない

「もっと働きたいのに働けない」

そういう愚痴や相談を頂くことがあります。
社員を守るための労働基準法が、成長を妨げることになってはいないでしょうか?

<スポンサードリンク>



規則は本当に社員のためになっているのか?

ひと昔前と比べて、労働基準法の遵守が徹底されるようになりました。

  • 残業時間はここまで
  • 有給休暇は最低これだけ取得して

と言った具合に。
ただ、それに対して出てくる愚痴が冒頭の「もっと働きたい」です。

「今のうち(若いとき・独身のとき)にガッツリ働いてスキルアップしたい」
「なのに会社は残業規制とかで、働かせてくれない」

特にやる気のある若い方から、こういう悩みを頂くことがあるのです。

今のルールは、経営者が暴走するのを食い止める効果は確かにあるでしょう。
しかし、体力も気力もある人が、もっと働きたいのに働けない状況にしてしまうのは、何かがおかしいと思わざるを得ません。

今の法律をひたすら遵守する「だけ」になることで、失うものがあるかもしれない。
それを経営側も、現場も、認識しておくべきでしょう。

※大前提として、今のルールを撤廃すべきと主張しているわけではありません。
悪い経営者を静止する効果は、間違いなくありますので。

時間の制約が「ブースト」を邪魔する

私自身が、新卒から10年くらいの間、「制約がなかった恩恵」をずいぶん受けてきました。

スキルのブースト

新卒3年目くらいで、大きな仕事を任されました。
現場にどんどん任せていく方針の組織文化でした。
他の企業だったら10年目でも任されるか分からないくらいの仕事です。

もちろん最初は、ガムシャラに頑張らなければ、手も足も出ません。
周りの先輩にアドバイスをもらい、自分自身も試行錯誤する。
先輩も忙しく、アドバイスをもらえるのは、夜遅くなってからでした。
当時はエンジニアでしたから、機器をかき集めて、夜な夜な検証することも。

(当時は机なんかなくて、地べたに座ってましたけれども・・)

必然的に残業が増えます。
具体的な数字を挙げれば、多いときには「週 90時間」くらい残業していました。
週7日間のうち、5日間を会社のソファで寝るような生活でした。
(イメージしやすいから書きました。勧めているわけではありません)

体力的に滅茶苦茶きつかったですが、少なくとも精神面は大丈夫でした。
自分が急成長しているのを感じていたからです。
何よりも「言われた作業を仕方なくやる」のではなく、任された裁量のある仕事だったから。

社会人5年目にして、競合他社の10年~15年目と対等以上にやりあえることも実感していました。
お客様先で、某大企業(N〇Tとか)が、課長を筆頭に10人くらい現れるミーティング。
私はひとりで、10人分以上の仕事をしていました。

私だけでなく、当時勤めていた組織は、全員がそんな感じでした。
お客様からは「少数精鋭で話がはやい」と喜ばれました。
喜ばれるから、もっと工夫する。
こうして、スキルアップが好循環に入っていきました。

収入のブースト

ついでに言えば、当時の前職は残業代も青天井でした。
だいたい、月に120時間残業すると基本給の倍。
180時間残業すると(必然的に土日や深夜が増えるので)3倍。

「さ~て、今月も界王拳使うか!」が一種の合言葉でした(汗)

若手にとって給料は、最も分かりやすい指標です。
基本給は普通の会社でしたが、このおかげで同世代の倍くらい稼げました。
今思うと、ある意味でとても牧歌的な時代でした。

日本の平均給与が下がり続けています。
法律に則って、単に残業や休日出勤を規制したからではないでしょうか?
(正規雇用の割合が減っていることのインパクトの方が大きいでしょうが)

本来やるべきは、残業などを規制した上で、今まで同様の生産性を得ること。
そして、その成果を基本給に反映させることだったのではないでしょうか。

圧倒的な時間投下から得たこと

私が当時(2000年代前半頃)の自分に戻ったとしたら?
もう少しうまくやれるにしても、同じ働き方を選ぶ可能性が高いです。
少なくとも「圧倒的に時間を投下したからこそ得られるものがあった」ことは否めません。

経験、そこから得たスキル。そして自信。

当時、プライベートを投げうってでも、仕事に没頭した。
その結果、今の自分があることは、紛れもない事実です。

私だけでなく、「当時の経験が今に活きている」と、同世代以上からは良く聞きます。

求められるのは、ニーズに合わせて変えられる働き方

ここまでは単に私の昔話です。
時代が全く違うのですから、同じやり方は合いませんし、やるべきでもないでしょう。

ただ、大量の時間を使うことによってしか、得られないものがあるのは、間違いありません。
質を上げるためには、まずは量稽古が必要です。

例えば、私が現在行っているコンサルティングや企業研修という仕事は、「人」を相手にする仕事です。
コンサルや研修スキルを上げるためには、実践経験に代わるものはありません。
自分ひとりでパソコンに向かったところで、なかなかスキルは上がりません。
(もちろん、振り返りの時間は重要ですが)

現在の法律の弱点

したがって、今の労働基準法には、弱点があると感じています。
単に時間を制約するのではなく、

「その人のニーズにあった、自由な働き方が選べる」

ことが、働く人にとっては重要なのではないでしょうか。

  • 働きたいときには、思いきりアクセルを踏んで、経験を積みまくる
  • 育児や介護、大学に通うなど、時間が欲しいときには、仕事の時間を短くする

ニーズと法律に乖離がありますから、これを「埋める仕組み」を構築すること。
経営者にも、働く人にも求められていることでしょう。

働く人はどうすべきか?

ここでは経営者側の話は置いておきまして。
働く人はどうすれば良いのでしょうか。

会社では規制があって「大量の時間投下」ができません。
しかし、市場全体を見渡せば、そんな規制など関係なくスキルアップしている人がいます。
経営者や、私のようなフリーランスは、規制の対象外です。
また「会社の外」で活動し続けている人たちもいます。

就業時間だけ真面目にやっていれば、スキルアップできる、というのは勘違い。
それ以外の時間も、やる人たちはやっています。
まずは「そういう人たち」と出会うと良いでしょう。
会社のなかだけで頑張っていると、どうしても「井の中の蛙」になりがち。

「就業時間後まで頑張りたくないよね」
「仕事だけで疲れているし」

そんな言葉が頭をよぎったとしても、実際にやっている人たちがいます。
例えば、「みんちゃれ」「Studyplus」などのアプリをみるだけで、頑張っている人たちが多いことに気づかされます。
(毎日、学習3時間とか、普通に継続されている方も)

法律に守られているから、それを遵守すれば良い。
のではなくて、「成長の機会を奪われているかもしれない」と疑ってみましょう。

まとめ
  • 圧倒的な時間投下により経験・スキル・自信を得る
  • 今の法律を守る「だけ」だと、機会損失になる
  • 自ら機会を設けて成長機会を取りに行く

[the_ad id=”2141″]


【編集後記】
立場に関係なく、常にステップアップを目指して活動されている方々を見ると、反省させられることばかりです。


メルマガ『経営は100種競技!』を毎日配信しています。
マーケティングやITを身につけたい。
ビジネスを楽しみたい。
変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。

渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
\ Follow me /