私は補助金や助成金の申請代行を基本的にやらないようにしています。
中小企業診断士としては一般的な業務なのですが、そこに手を出さないのは、私なりの理由があるからです。
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以前に挙げた3つの理由
実は同じテーマで2年近く前にも記事を書いています。
このときに挙げた理由は以下の3つです。
- 経営の基本は、強みにフォーカスすべきだから
- 外部環境に依存する経営をしたくないから
- 悩みながら申請書を書くことで、経営者の頭脳が鍛えられるから
最初の2つは事業者としての私に関する理由です。
事務処理が苦手な私が、補助金・助成金という事務ワークを行うことは、経営の原理原則に反しています。
また、補助金や助成金は政府・行政が決めることなので、そういう外部環境に依存した経営をしたくないという理由もあります。
3つ目の理由はお客様にとっての理由です。
経営者自らが、頭の中にあるボンヤリしたことを書くことで、より明確に思考することができるからです。
根本的な理由は、今も2年前と変わりません。
ただ、追加で気になることが出てきたので、今回はそれを記事にします。
補助金・助成金の申請代行をやらない追加の理由
依存する経営者を増やしたくないから
1つ目の理由は、依存する経営者を増やしたくないからです。
先日、「寄付」についての実態を聴く機会がありました。
NPOなど、寄付で何とか継続している事業が、世の中には数多くあります。
講師の方が仰っていました。
「寄付に”依存”してしまうほど、恐ろしいことはない」と。
同じことが補助金・助成金にも言えます。
残念ながら、補助金・助成金を「もらえるお金」として考えている経営者が、後を絶ちません。
依存してしまった結果、「事業を継続するために必要なお金を事業で稼ぐ」という経営者であれば当然の発想ができなくなってしまうのです。
ひどい場合だと、補助金が交付されなければ事業継続できない。
それほどまでに追い込まれてしまうのです。
私が過去に見てきた素晴らしい経営者は、補助金・助成金との距離感を適度に保っています。
やりたいこともスケジュールも決まっている。
手元の資金もある。
丁度そのとき、たまたま該当する補助金があったから、利用しよう。
そんな感じなのです。
一方、補助金に依存してしまった経営者は「補助金に合わせて〇〇をやろう」という発想に陥っています。
私がお会いしてきた限り、依存する経営者と、適度に距離感を保つ経営者の割合は、残念ながら前者の方が多いように感じています。
私が中小企業診断士であることを知った途端に「良い補助金ないですかね?」と聞いてくる経営者とか。
そっと距離を置くようにしていますが・・
私は政府や行政に対して、補助金・助成金という形でお金をばら撒くだけではない、中小企業の支援の方法を見出すときではないか?と感じています。
要するに補助金・助成金の金額規模を小さくして、その他のことにまわすべきではないか?
これを書き始めると長くなるので、今回は割愛します。
補助金・助成金に群がるハイエナ診断士と一緒になりたくない
2つ目の理由。
これを書くと、中小企業診断士に敵が生まれそうですが・・(汗)
残念ながら、モラルを感じない中小企業診断士がいます。
どの業界にも、そういう輩は一定数いるのでしょうが。
彼らは補助金・助成金の情報を常に拾い続け、分かりやすく解説します。
そして先に書いたような依存症の経営者を開拓して、補助金・助成金を勧めます。
経営者が依存症になるかどうかは関係ない。
1件当たり、いくらという報酬を得ることが目的です。
「今年は何件対応して、何件交付決定されました(成功率〇%)」
「昨年の年商はいくらになりました」
このように吹聴することによって、若手診断士を仲間に引き入れます。
実務を彼らにやらせつつ、自分は紹介料・営業料を取るというビジネスモデルです。。
ひょっとすると、国や自治体から見たら、良い中小企業診断士なのかもしれません。
国や自治体が立てた計画を、着実に実行してくれる士業ですので。
ただ、私は関わりたくありません。
彼らのゴールが、自分達が稼ぐことでしかないからです。
中小企業診断士には、高い倫理観が求められる
言うまでもなく、高い倫理観を持って仕事をしている中小企業診断士の方もいらっしゃいます。
依存症の経営者を増やそうとしないところが、ハイエナ診断士とは異なります。
そして、事業を成長させることを意識しているところも異なります。
(ハイエナ達は、交付決定されることがゴールになっています)
ですから私は、補助金・助成金の申請代行を、全て否定しているわけではありません。
中小企業にとって、有力な資金調達手段であることは、間違いないのですから。
中小企業診断士には、医者と同じように、プロフェッショナルとして高い倫理観が求められると思います。
「ヒポクラテスの誓い」です。
ドラッカーで言えば、「知りながら害をなすな」というでしょう。
税金から報酬を受ける以上は、絶対に必要なことだと感じています。
短期的な資金調達が、企業のゴールではありません。
それによって大切なことが失われてしまったら、何の意味もありません。
お客様である企業・経営者がより良くなること。
ミッションを果たし、ビジョンに近づくこと。
社会に対して、目指す形での貢献を行うこと。
私たち中小企業診断士は、そのために存在していると考えています。
私が補助金・助成金支援をするとしたら
ここまでを踏まえて、もし私が補助金・助成金の申請支援を行うとしたら?
(単純な「代行」は100%やらないので、「支援」と言葉を変えました)
補助金・助成金だけの支援は行いません。
その企業がより良くなることが目的なので、事業そのものの支援の一部として行います。
つまり交付決定したら終わりではなく、それはむしろスタートだと考えます。
そして補助金・助成金の支援費用としては頂きません。
事業そのものの支援に対して報酬を頂きたいからです。
(私は資金調達のプロではありませんし)
また、真の意味での成功報酬にするのも面白いですね。
補助金・助成金を活用するということは、資金繰りが苦しい場合もあります。
ですから、初期のコンサルティング報酬を押さえて、その事業が立ち上がって成果をあげたものに対して、一定の報酬を頂くという形です。
実際やったことはありませんが、こういう形での成功報酬なら企業のためになります。
途中で方針転換して事業内容が変わったとしても、成果が上がれば良いわけですし。
・・と、前から書こうかどうか、迷っていたことですが、思い切り書いてしまいました(笑)
- 補助金・助成金に依存する経営者を増やしたくない
- 補助金・助成金に群がるハイエナ診断士と一緒になりたくない
- 中小企業診断士には、高い倫理観が求められる
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【編集後記】
私の通う合気道に、新中学生たちが入ってきました。
一応「大人(一般)クラス」ということになっているのですが・・
まぁ、まだまだ子供ですよね。稽古がカオスになりそうです(笑)
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