SESや受託開発のIT企業が、サービス提供型のビジネス(例:SaaS)へシフトしたいという声を頻繁に聴くようになりました。
システムインテグレーション業界が少しずつ崩壊に向かう中、「このままでは耐えきれない」と考えるIT企業が増えてきているのでしょう。
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企画の前提となるのは、自社の強み
本連載の初回でご紹介していますが、サービス提供型のビジネスは全くの別物です。
キャッシュフローから必要なスキルまで、相当違います。
その筆頭が自社で「商品・サービス企画」を行わなければならないことです。
企画をする上で前提となるのは、自社の強みです。
何年も事業を営んでいるのであれば、何らかの強みがあるはずです。
- 技術力の高いエンジニアがいる
- 特定の業界・業務に深い知見がある
- 社内の教育が行き届いている
- 営業力が高い
- お客様の継続率が高い
- チームプレイが上手い
- 離職率が低い
etc
まずはこの強みを再度、確認します。
強みを活かした商品・サービスにしなければ、上手く立ち上げることは困難です。
例を挙げますと、前回、こちらの記事でご紹介した「board」を開発しているヴェルク株式会社さん。
社長が「経営者・経理・開発者」という3つの顔を持っていることを存分に活かしています。実際、boardの利用者からは「ユーザーの気持ちを分かっている」という声が多いようです。
社長自身が経理を行い、経営者として数字も見たい。
その感覚を分かった上で、開発方針を指揮していること。
そうやって強みを発揮していることが分かります。
繰り返しになりますが、まずは自社の強みを把握しましょう。
どうしても分からない場合は、お客様に聴いてみることをお勧めします。
自社が欲しいサービスをつくってみる
仮に自社の強みが分かったとして、それをどういう形で商品・サービスにすれば良いのか?
最も分かりやすいのは、自社が欲しいサービスをつくることです。
上述の「borad」を提供しているヴェルクさんも、受託開発の事業における
アポイント→見積→受注→納品→請求→入金
という業務を簡単に管理したいことから始まりました。
と同時に、1件1件の案件の動きを追うだけでなく、経営者として全体の数字を見ることも実現しました。
- 請求書発行システムでは物足りない
- 中堅企業以上向けのERPだと大袈裟すぎる
という中小企業経営者の気持ちを汲み取ったサービスと言えます。
というより、受託開発のビジネスをしている「自社が欲しいものをつくった」からこそ、同様の悩みを持つ人に刺さったのでしょう。
同じように、自分達が欲しいもの&強みを発揮できるものを、まずは企画してみましょう。
例えば SES に特化した業務システムをつくることができると、他の人材派遣系の会社にも提案できる可能性が高いでしょう。
DX、AI などバズワードにとらわれなくて良い
IT企業が新商品・サービス企画を行うと、新しいトレンド的なキーワードにとらわれやすいと感じています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)、人工知能(AI・機械学習・ディープラーニング)、IoT、VR/AR/MR、5Gなど、IT業界は常にトレンドワードに溢れています。
しかし、新商品を企画する際、これらのキーワードはいったん忘れるくらいでちょうど良いでしょう。テクノロジーは手段であって、目的ではないからです。
- お客様は何に困っているのか?
- どうなりたいのか?
- どのようなサービスでそれが達成できるのか?
このような本質を追求することの方が大切です。
解決手段としてテクノロジーを活用するのは良いことですが、最初からテクノロジーありきではありません。
- SES や受託開発会社が新商品・サービスを企画するには、自社の強みが必要
- 自社の強みを活かした上で、自社が欲しいサービスを開発してみる
- 自社がファーストユーザーとなりつつ、同じ悩みを持つ企業に届ける
この連載の目次です。
- 受託開発からサービス(SaaS)へシフトできない理由
- サービス提供型ビジネス(SaaS)へのシフトで注意すべきスキルの差
- SaaSにシフトするために超えるべき「お金の流れ」
- SaaSが提供しているもの(価値)は何なのか?
- 実例から学ぶ、受託開発からSaaSへシフトするために大事なこと
- SESや受託開発からSaaSへ移行するための第1ステップ(←この記事)
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【編集後記】
フィットネスクラブの再開とともにスイム練に行ったためか、非常にカラダが重いです・・
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変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。