私は以前から「早くFAXを止めるべし!」と言い続けています。しかし、中小企業の現場からは、なかなかFAXがなくなりません。
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なぜFAXを止めるべきなのか
この思いが強くなっている理由は簡単です。中小企業の生産性を著しく落としているから。
つい先日もこんなやりとりがありました。
- ある企業で、社長が社員に発注をFAXで出すように指示
- 社員がFAX用紙に記入して発注
- その後、社長が発注量に誤りがあることに気付く
- 社員は既に帰宅していたので、社長が急いで発注先に電話して修正依頼
たった1回の発注にどれだけの稼働を発生させているのでしょうか?しかも最後は電話(口頭)で発注しているから、記録も残りません。あとで「言った・言わない」のトラブルの温床にもなってしまいます。
もしこれで実際にトラブルが起きたら、さらに多くの時間とお金を無駄にしてしまいます。この例は極端ですが、実際に以下のようなことは、日々、多くの企業で起きています。
- FAXの文字が潰れていて、文字を読み間違えてしまった
- FAXを送付した後、「今FAXしたんですけど」と電話する
- FAXで送られてきた情報を元に、Excelに入力し直している
こういう問題も、著しく生産性を下げる原因になってしまっています。
FAXの問題は色々と書いていますが、最も根本的な問題は、「世の中の変化に対応しようとしない姿勢」そのものにあります。
既にFAXよりも便利で安価なツールは世の中に溢れかえっています。例えば、スマホで写真に撮ってメールやSNSで送付した方が、文字も鮮明ですし、通信費も少なくて済みます。
にも関わらず、そのようなツールに乗り換えないのは、
- 自社は技術に対するアンテナが低い
- 変化することに抵抗感を示している
ということを、自ら示しているようなものです。
公的機関はFAXの使用をいますぐ止めて欲しい
先日、知人の社長がぼやいていました。
「商工会議所の交流会の申込がFAXのみのとき、残念な気持ちになる」
激しく同感です。中小企業の経営を支援する立場にあるものが、わざわざ生産性を下げるFAXのみを窓口にしている。こういう事実に正面から立ち向かう必要があると感じています。
FAXの問題はその製品・技術と言うよりも、「毎回、同じような情報を何度も書かせる」ことです。
会社名、部署、氏名、電話番号、FAX番号、メールアドレス(メアド聴くならFAX止めてと言いたくなります)・・毎回毎回、基本情報を書かされるのです。この書くために使う時間の無駄は、無視することができません。
公的機関であれば、顧客企業を会員ナンバー・法人番号などで管理してもらいたいものです。100歩譲って、仮にFAXを利用するとしても、毎回毎回、基本情報を書かせるのではなく、会員ナンバーだけを書かせれば良いのです。そうすれば書く手間も減りますし、情報漏えいのリスクも減ります。
1つ1つの企業が急にFAXを止めるのは大変かもしれません。業界的に発注も受注もFAXというところが、まだまだ残っていますから、自社だけ急に止めるのは現実的に大変、ということもあるでしょう。
だからこそ、こういう公的機関や大企業が積極的にFAX利用を止めるべきなのです。公的機関は中小企業を支援する立場。それは中小企業経営者から見たら、模範となる立場でもあるでしょう。そういう立場にある機関が、いつまでも古い仕事のやり方を示しているのは、どうなんでしょう?
「今FAXがなくなっていない」ところにニーズの種がある
FAXの存在自体は冒頭からお伝えしている通り、私は不要だと思っています。企業はコスト・設置場所・時間などを削り取られるからです。また、NTTなどの事業者視点でも、FAXのような古い仕組みを維持するのに、膨大なコストが掛かっています。
しかし同時に「手描きのイメージを送る・受ける」という需要は間違いなく続くと思っています。ですから、FAXがなくなったとしても、その需要を叶える商品・サービスは必要である、と感じています。
高齢者でも子どもでも簡単に使えるサービスが生まれて欲しいですね。(もうあるのかもしれませんが、一般的に使われているものを、私は知りません。FAXのデジタル化というようなことではなく、根本から仕組みを変えるものが欲しいです。)
FAXはなくす。でもそこでニーズをしっかり拾う。そういう流れになって欲しいなぁ、と考えています。
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