CRMを活用する理由の1つが顧客を識別することです。
しかし、なぜ顧客を識別しなければならないのでしょうか?
この記事では、その理由と期待される効果をまとめてみました。
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限られたリソースをどこに割り当てるか
スモールビジネスは、とにかく資源(リソース)が限られています。
人手(時間)だけでなくお金も、限られた環境で経営しています。
仮にマーケティング予算30万円が準備できたとしましょう。
- 過去に取引があった100社全てを対象に、平等に30万円を使う(1社当たり3,000円)
- いつもお世話になっている優良顧客10社だけに、予算を割り当てる(1社当たり3万円)
期待される効果が得られるのはどちらでしょうか?
言うまでもなく、後者です。
ここでは分かりやすくお金を例に挙げましたが、時間についても同じことが言えます。
つまりデータを活用して顧客を識別するということは、全ての顧客を平等に扱うことからの脱却です。
この考え方に抵抗感のある方もいらっしゃるでしょう。
ただ、現実問題としてリソースが有限である以上、どこにリソースを割り当てるのが効果的かを考えるのは、非常に重要です。
売上は少数の顧客から得られている
多くの企業において、売上の80%は、上位顧客20%から得られています。
いわゆるパレートの法則(ニハチの法則)です。
もちろん、会社によっては70:30だったり、逆に90:10だったり数値は異なります。
この割合を知りたいときには、デシル分析を行います。
デシル分析は、全顧客を購入金額の高い順に並べて10等分することで、売上構成比を分析する手法です。デシル(Decile)はラテン語で10等分を示します。小学校で習うデシリットルと同じですね。
ただ、その前に。
取引相手が数10社くらいまでの場合は、デシル分析を行う必要もありません。
B to Bのスモールビジネスでは、顧客数がそんなに多くないこともあります。
売上(1年間などの一定期間)を上位から並べてみるだけで、傾向が分かります。
この例では、上位8社で売上の80%を構成しています。
この資料をつくる手順は、大まかに以下のような流れです。
- 顧客ごとの年間売上を算出する
- 売上が多い順に並べる
- 売上構成比を算出する(その顧客の売上÷全体売上)
- 累計構成比を算出する(2位以降は1つ上の順位の累計に自分の構成比を足す)
- ランク(顧客グループ)をつける
この例では、累計構成比50%以下をA、80%以下をB、それ以下をCとしてみました。
最初はランク(顧客グループ)が増えすぎると混乱するので、80%以下を全てAとしても良いでしょう。
このように売上・利益は、全顧客から平等に得られているのではなく、かなり偏っていることをデータとして実感してみましょう。
顧客の識別によって得られる効果
この偏りが実感できれば、自社の大切なリソース(人手・時間・お金など)を、全顧客に平等に割り当てる必要もないことが納得いただけると思います。
やりたいことをまとめると、下図のようになります。
左から真ん中、そして右へ変化していくイメージです。
まずは売上を分析して、優良顧客を識別します。
先ほどランク(顧客グループ)をつけたところです。
その上で、優良顧客を獲得・維持するために、会社のリソースを優先的に配分します。
優良顧客が増えることで、会社全体の売上も増えていきます。
と同時に、マーケティング経費(販促費や人件費など)を効果的に使うことによって、経費を減らすことも出来ます。
これは利益を伸ばすためでもありますが、それと同時に、スモールビジネスにとって非常に重要な「自社の方向性に合った顧客」とビジネスをしていくためでもあります。
リソースが限られたスモールビジネスだからこそ、貴重な優良顧客の獲得・維持にできる限り集中していきたいですね。
- スモールビジネスはリソース(人・お金)が限られている
- 顧客を識別して、優良顧客の獲得・維持に集中する
- 売上向上、経費削減だけでなく、自社に合った顧客と関係構築できる
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【編集後記】
最近、学びがちょっと偏り過ぎているなぁ~と。
全体としての割合を修正しようと思います。
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