ツール活用

会議の議事録をAI(人工知能)に文字起こしさせる無駄

「会議の議事録を、AI(人工知能)に文字起こしさせるとラクだよね!」
という声を聞くことがあります。
実際、検索してみると、そういうツールが次々と出てきます。

しかし私は「問題はそこじゃないでしょ!」と考えています。

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問題は文字起こしの手間にあるのではない

議事録を文字起こしする手間。
確かに悩んでいる現場を何度も観たことがあります。

しかし、そういう現場に共通していることがあります。

  • 議事録が有効に活用されていない
  • 会議の場に「心理的安全性」が確保されていない
  • 場がしらけていて、参加者がどことなく他人事


1点目、文字起こしが大変で悩んでいるにも関わらず、議事録が有効に活用されていないのです。
誰も読まない議事録、必死に文字起こしすることに何の意味があるでしょうか?

確かに文字起こししている当人からすれば、AI(人工知能)に任せることでラクになるかもしれません。
ただ、それが何の問題解決にもならないのなら・・

そもそも「文字起こしが大変」と感じるのは、会議中に話されたことを全て記録しようとするからです。
そういう会議では「誰が何を発言したか?」を記録し、問題が発生したときに責任を押し付ける対象を明確にしようとする意図を感じます。

2点目にもつながる「心理的安全性」がない会議です。

逆に議事録が有効に活用されている現場では、以下の特徴があります。

  • 議事録が数行程度とシンプル(決定事項や、各人のアクションなどが書かれている程度)
  • 会議の運営がしっかりしている
  • 会議の場で心理的安全性が確保されている(何を発言しても許される安心感)

つまり問題は、議事録を書く負担にあるのではなく、会議の運営方法や、それ以前の場づくりにあるように感じています。

※もちろん、非常に重要な会議などの場合、全ての発言を記録したい場合もあります。
そういう場合は、AIを活用するも、録画・録音するも良いでしょう。
ただ、それは企業の会議においては、1%にも満たないと感じています。

会議の運営方法

議事録問題の背景には、そもそもの会議の運営方法にあることを書きました。
では実際に会議をする上で、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

目的が明確

会議には目的があります。
例えば以下のようなものです。

  • 意思決定する
  • 課題分析・解決策立案などのためにアイデア出しをする
  • 終わったプロジェクトなどを評価する
  • 情報共有する(※)

※ITツールが充実してきている昨今、単なる情報共有だけのために会議を行うのは非効率です。
皆で時間を合わせて会議をする以上、「読めば分かる」以上の情報交換が必要です。

実際には目的が不明確なまま、定例会と称して集まっているだけの会議もあります。
すぐに止めましょう。

流れがつくられている

会議が上手い組織は、流れがつくられています。
何となく集まって、何となく解散することはしません。
会議の目的に向かって進んでいくのです。

事前準備としては、以下のようなものがあります。

  • 必要最低限の参加者に絞り込む
  • 会議の開催方式を事前に通知する
  • 情報共有はツールで事前に済ませておく
    (読むだけでは分からないようなことを補足として会議で話す)

実際の会議は、主催者がファシリテートしながら進みます。
目的によって進め方は変わりますが、以下の項目は共通です。

  1. アイスブレイク
  2. 目的の共有・確認
    (開催通知で伝えていますが、念押しの確認)
  3. 目的に関係ない話題は早々に切り上げる
  4. 結論の確認
    (次回までに各人が取り組むべきタスクや期限などの確認)
  5. 終了時間は厳守

皆で時間を合わせて行う会議は、非常にコストが高く、参加者の負担も重たいものです。
だからこそ、流れを決めておき、時間厳守で進めるようにしています。

会議に連続性はあるか?

目的が明確で、流れができている会議の議事録はシンプルです。

  • 決定事項
  • タスク・担当者・期限
  • 次回の会議の目的

くらいしか書かれていません。
それで十分、機能するからです。

会議の最後に結論の確認を行います。
そこで次回の会議の目的も決まります。

  • 会議1:目的→結論(次回会議2の目的)
  • 会議2:目的→結論(次回会議3の目的)
  • 会議3:・・・

多くのプロジェクトが、1回の会議では終わりません。
そのときに上記のように、ある回の会議の結論が次回の目的につながります。
その次の会議でも結論が出ると、その次の目的が見えてきます。
このような繰り返しによってプロジェクトが円滑に進むのです。

逆に失敗するプロジェクトは、会議に連続性がないのが特徴です。
「今日は何の会議だっけ?」と参加者が毎回、迷子になってしまいます。

まとめ
  • 議事録を書くのが大変、その根本原因は会議の運営方法にある
  • 根本原因を解決しないまま、AI(人工知能)に文字起こしさせても何も変わらない
  • 会議の目的・流れは明確か?各回の会議に連続性はあるか?

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【編集後記】
根本原因を突き止めないと、解決策を間違えてしまう典型例でした。
似たようなことを自分もしてしまいがちなので、気をつけねば。。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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