ツール活用

リモートワークが進む企業のコミュニケーション術

テレワーク・リモートワーク・在宅勤務の浸透と共に、コミュニケーションのデジタル化(オンライン化)も進んでいます。
しかし、対面で会話していたのを、ZoomなどのWebミーティングに変えただけという企業も少なくありません。

デジタル化に合わせて、コミュニケーションを非同期にしていくことが望ましいと考えています。

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リモートワークが進む企業のコミュニケーション術

リモートワーク(在宅勤務)が上手く進む企業は、コミュニケーション方法が異なります。
ITを使いこなすスキルが話題になることが多いですが、私はコミュニケーション方法(組織文化)が異なる方が、重要だと感じています。

非同期コミュニケーションが中心

同期ではなく、非同期が中心です。

同期とは、対話・電話・Webミーティングのように、全員が時間を合わせて行うこと。
非同期とは、手紙・メール・チャットのように、それぞれが都合の良いときに行うことです。

リモートワークの基本は、100人100通りの働き方を実現することです。
全員が同じ場所に集まって、同じ時間に仕事をするやり方だけでは、現代の仕事はまわりません。
これからの社会は、ますます多様な働き方ができる環境が求められます。

  • ある人は、平日の9~18時に働くかもしれない
  • 別の人は、月水金の10~15時だけ働くかもしれない
  • また別の人は、世界中を旅しながら(時差がある)働くかもしれない

こういう様々な働き方をする人が混在する環境で、全員が時間を合わせることは困難です。
自社だけでなく、社外の人ともコミュニケーションすることを考えると、時間を合わせる負担はますます高くなります。

だからこそ、同期コミュニケーションを前提とせず、非同期コミュニケーションを中心に置くのです。

口頭ではなく、文字が中心

非同期コミュニケーションの代表的な方法はメールやチャットです。
そうなると口頭でのやり取りではなく、文字が中心のコミュニケーションとなります。
つまり自分の考えていることや意見などを、文章としてコンパクトにまとめる必要があります。

メールやチャットが浸透しない組織では、口頭のコミュニケーションが中心です。
しかし、口頭で行うためには、全員が時間を合わせる同期が必要になってしまいます。
それに口頭で言ったことは記録に残らない(※)ので、その情報の活用がしにくいです。

(※)
話した内容を自動的に文章起こしするツールがあります。
Webミーティングで話せば、それを録画することもできます。
ただ、最初から文字でコミュニケーションすれば、それらの必要はありません。

非同期でコミュニケーションする組織は、必然的に文字でのやりとりが中心になります。

オープンなコミュニケーション

リモートワークが上手く進む組織は、コミュニケーションがオープンです。
上述の通り、非同期で文字によるコミュニケーションを行いますが、基本的に社内なら誰でも読めるところでコミュニケーションします。

関係者だけに伝えればいいという、従来型のクローズド(閉鎖的)なコミュニケーションとは対極にあります。
常に、誰に見られても良い発信を心がけます。
自然と秩序が働きやすく、現場にとっては心理的安全性が高まる傾向があります。

  • 隣の部署ではどんな活動をしているのか?
  • 社長と部長はどんな会話をしているのか?
  • 人事評価はどうやって決められているのか?

こういうことを、オープンにするのです。
いきなり全ての情報をオープンにすることには抵抗感があるかもしれません。
まずは日常的なコミュニケーションからオープンにして、少しずつ、その範囲を広げていくと良いでしょう。

非同期・文字中心・オープンというこの3つがお互いに関係しています。

Webミーティングに慣れたら、非同期中心にシフトする

ITツールに慣れていない組織は、ZoomなどのWebミーティングを使えるようになるだけで大変でしょう。
まずは現状の仕事をこなせるようにしないといけませんから、Webミーティングを自由に使えるようにする必要があります。

そして慣れてきたら、コミュニケーション方法を非同期中心にシフトしていきます。
上述の通り、非同期中心にするためには言語化が重要です。
以下のような問題に対応していく必要があります。

パソコン操作(特に文字入力)が遅い

「パソコンで入力するより、話した方が早い」

もっとも多いクレームです。
しかし、そういう主張をする人は単純に文字入力やパソコン操作が遅いことがほとんど。
逆に言えば、パソコンに慣れた人からは、そういうクレームはでません。

ブラインドタッチ(キーボードを見ないで文字入力する)は必須スキル。
音声認識入力も進んでいますのが、現時点においてはブラインドタッチも必要でしょう。
スマホで文字入力するときは、音声認識入力の方が早いことも多いです。

また、単に入力速度を上げるだけではなく、単語登録する。
私が実際に登録している例を挙げます。

  • 「あり」→「ありがとうございます」(よく使う言葉を登録しておく)
  • 「しぶや」→「渋屋」(通常変換だと出てきませんので、変換の手間を省く)

またスニペットを使うことで、長文の登録もしています。
「”office」と入力すればオフィスの住所が出てくるようにしています。
このブログを書くときのフォームも「#form」で出てきます。

言語化スキルが低い

同じく、書くことに対するクレームを挙げる人に多いのが、言語化が苦手な場合です。

何かを相手に伝えるとき、思いつくままに話してしまうタイプです。
ビジネスで会話をする以上、例えば、背景→課題→解決策→効果というような流れを意識する必要があります。

伝えたいことを構造化するロジカルシンキングなどを学んだ方が良いでしょう。

それ以前に書く習慣がないと言語化スキルはあがりません。
メールでもチャットでも、書き続けていれば少しずつ言語化スキルはあがります。

データを活かす意識がない

それでも「話した方が早い」と同期コミュニケーションをしたがるケースがあります。
文字化されたデータは、活かすことができるのですが、そういう意識が足りません。

データ化されていれば、関係者以外もそのコミュニケーションを見ることができます。
良いアイデアややり方は、直接関係ない人でも真似することができます。

話すことはその場限りの効果しかありません。
言語化(データ化)されていれば、効果を広げていくことが可能になります。

教育は必須

これら3つの問題に共通して、教育は絶対に必要です。
ITツールを導入しただけで非同期コミュニケーションにシフトすることはありません。

皆が時間を合わせて行う同期型のコミュニケーションは負担が大きいこと。
その分、同期型でしかできないことを行う必要があることなどを、周知していく必要があります。

なお、同期型のコミュニケーションを禁止する必要は、もちろんありません。
希少な場として、今後も重要な位置づけを占めていきます。

アイデアを出したり、プロジェクトの評価・反省をしたり、インタラクティブな場でしかできないことはあります。
一方で、単なる情報共有のために皆で時間を合わせるには、無駄が多くなってしまいます。

このような教育をしていかねばなりません。
IT担当者に任せっきりにするのではなく、経営者が深く関与する必要を感じていただけるのではないでしょうか。

リモートワークへのシフトが順調に進んでいる企業は、そのように経営者が自ら動いています。

まとめ
  • リモートワークが上手く進む会社は、非同期でオープンなコミュニケーションを行っている
  • 単にITツールを導入しただけでは、リモートワークは進まない
  • 社員への教育・周知徹底が必要となる

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【編集後記】
今日は企業研修の講師です。
新人さんが受講者なのですが、初々しくて良いですね~
(発言が完全にオッサン化していますが・・汗)


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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