IT・システム企画

付加価値を高めるためのIT活用(4PにITを組み込む)

以前に生産性とは、効率性と付加価値の掛け算であることをお伝えしました。
効率性だけを追求しても、組織全体の生産性は、なかなか上がりません。

生産性とは「付加価値」と「効率性」の掛け算生産性を高めたいと考えつつ、やっていることは単なる労働時間削減になっていませんか?それでは組織や働く人が疲弊していくのみです。では時間削減以外にやるべきことは?この記事では、経営者が知っておきたい付加価値と業務効率の関係をお伝えします。...

そこで付加価値を上げる具体的な方法をご紹介します。

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付加価値を向上させるための方向性

付加価値を向上させるためには、いくつかの方向性があります。

  1. 「顧客」に対して
  2. 「顧客以外の取引先(仕入先など)」に対して
  3. 「自社」のスタッフに対して
  4. 上記3つの先にある「社会」に対して

今回は1つ目の「顧客」に対する付加価値向上を考えます。
ビジネスはお客様の悩み事を解決したり、満足を与えることが基本です。
ですから、まずは顧客に対しての付加価値向上を考えたいのです。

IT(情報技術)とマーケティングの4Pをかけ合わせる

「ITを活用して付加価値を向上させましょう。」と言われても、何のことか良く分かりませんよね。効率化なら多少のイメージは湧くかもしれませんが・・

具体的には、お客様に提供する商品・サービスにITを組み込むことです。
さらに言うと、購入前と購入後を含むお客様体験の全てにITを組み込むことを考えます。

そのための基本となるのが、マーケティングの4P(売り物・売り場・売り方・売り値)です。商品・サービス企画をするときに非常に使いやすい考え方です。

このそれぞれにITを組み込むことが出来ないか?を考えてみましょう。

売り物

そもそもの商品・サービスをデジタル化できないでしょうか?

  • 人前で講義していたセミナーを動画(デジタル)にする
  • スタジオでやっていたヨガを動画(デジタル)にする
  • 紙の書籍を電子出版(デジタル)に変える

世の中の売り物は、少しずつデジタル化されてきています。
レコードがCDになり、今はネットで提供されています。
紙の新聞もオンライン化が進んでいます。

自社の売り物をデジタル化できないか?を考えてみましょう。

  • そのままデジタル化できる場合
  • 商品・サービスに変更を加えないとデジタル化できない場合

の2つがあります。
上述の例は、前者です。

食品などは、そのままではデジタル化できないわけですが、
「好みやアレルギーに応じて、最適な食品を提案する」
というように、食品の構成案をデジタル化することはできます。

お客様は単に食品そのものを買っているわけではなく、「健康」や「食の楽しみ」を価値と感じているからです。
このように変更を加えながら、デジタル化することが可能です。

とは言え、全ての商品・サービスがデジタル化できるわけではありません。
例えば美容院やマッサージは難しいでしょう。
そのような場合は、売り物以外の売り場・売り方・売り値のデジタル化を考えます。

売り場

売り場をデジタル化できないでしょうか?

  • ネット上で興味を持ってもらう(ホームページ、ブログ、SNS、広告など)
  • ネット上で販売・決済する(ECサイト)
  • アフターサービスをネットで行う
  • お客様同士の交流の場をネット上に設ける

売り場をデジタル化することができれば、場所と時間の制約から解放されます
お客様から見れば、営業時間や店舗の場所にとらわれずに買い物をすることができます。

  • オンラインミーティング(Zoomなど)上でサービス提供する

最近のコロナ禍で増えているのがこちらです。
サービスの提供場所をオンラインミーティングにしています。
私自身もコンサルティングは100%、オンラインになりました。

売り方

  • 見積を営業(人)が行うのではなく、オンライン(Webフォームなど)で行う

例えばこのサービス(CADDi)は、製造業における部品調達における課題を解決しようとしています。設計図データをアップロードするだけで、見積もりが7秒で終わるそうです。

不安定な受発注、発注や見積にかかる手間、調達コストや生産側の赤字比率の高さなど、発注側・受注側双方に様々な社会課題がある分野ですので、期待が大きいです。

  • 契約はクラウド上で行う

クラウドサインなどが有名ですね。
紙を印刷して、捺印して、印紙を貼って郵送・・とか、顧客体験として全く美しくありません。早々にデジタル化したいところです。

  • DMよりもメール/SNSマーケティング

ダイレクトメールは印刷・郵送費が掛かります。
しかも全てのお客様に同じ印刷物を送付するので、個別のお客様に対して最適化ができません。
それよりは、お客様の状態(初回購入したばかり、長く愛顧頂いているetc)に応じて、最適な内容を送付できるメールやSNSを活用した方が良いでしょう。

売り値

決済のデジタル化です。
オンライン上で決済できるようにしましょう。

お客様によって望む決済手段が多様化してきました。
銀行振込、クレジットカード、Apple ID、Amazon ID、Google ID、LINE Pay、PayPay・・など。

またサブスクリプション(継続課金)型のサービスも増えていますので、サブスクに対応した決済手段も準備しておきたいものです。

前提はお客様に提供する価値は何か?

このように、4P(売り物・売り場・売り方・売り値)の全てにITを組み込むことができないか?デジタル化・オンライン化できないか?を考えます。

ただ、枝葉に振り回されてしまわないように、注意が必要です。
ITを組み込むことは手段であり、本質はお客様により高い価値を提供できるか?です。

  • お客様は何に困っていて、どうなりたいのか?
  • そのために自社はどういう価値を提供するのか?
  • 価値を提供する手段として、商品・サービスはどうあるべきか?
  • その手段の中にIT(情報技術)を活用できないか?

この商品・サービス企画の原点を忘れないようにしつつ、ITを活用することで、高い付加価値をつけられるように(=お客様により満足頂けるように)していきましょう。

IoT、AI、RPA、VR/AR/MR、DXなどITには様々なバズワードが生まれます。
これらの技術は学びつつも、振り回されるのではなく活用することが大切です。

まとめ
  • ITを活用して付加価値を向上させる
  • マーケティングの4P(売り物・売り場・売り方・売り値)をデジタル化する
  • お客様が欲している価値は何か?を忘れない

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【編集後記】
初めてZoomで合気道の稽古を受けました。
他者と一緒にやる稽古はできませんが、独修技(ひとりでやる技)はできますね。
これも「売り場」の変更ですね。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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