人間学

知識とは何なのか?その適用範囲の変遷と現代の知識社会

私たちの多くが「知識」を中心に仕事をするようになりました。
私(渋屋)の場合、ITエンジニア→マーケティング→コンサルタント・講師なので、社会に出て以来、20年以上、知識を元に仕事をしています。

この記事では、そもそも知識とは何なのか?
その適用範囲がどう変わってきたのかをまとめました。

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知識とは何か?

日本語における「知識」とは、元々仏教用語のようです。
仏道修行者の指導者である善知識(ぜんちしき)の略称。(weblio辞書より)

ただ私たちは普段、知恵&見識。
あるいは認識していることなどとして「知識」を使っています。

知識は東洋・西洋ともに古くから論じられてきました。

ソクラテスは知識の役割は、自己認識。
すなわち自らの知的、道徳的、精神的成長にあるとしました。
一方、プロタゴラスは知識の役割は、何をいかに言うか。
つまり知識とは論理、文法、修辞などの一般教養を指しました。

東洋も同様の傾向があります。

道教・禅宗では、知識とは自己認識であり、知恵に至る道でした。
儒教では、知識とは何を言うかを知ることであり、人生の道でした。

このように東西ともに対立はあるものの、古代においては、どちらも知識とは「存在」に関わるものであり、「行為」に関わるものではありませんでした。

知識・見識・胆識

陽明学者・哲学者・思想家である安岡正篤さん。
昭和の政界・財界のみならず皇室も安岡先生を頼りにしていました。

そんな安岡正篤さんが言われた言葉が「知識・見識・胆識」です。

知識とは理解と記憶力の問題で、本を読んだり、お話を聞いたりすれば知ることのできる大脳皮質の作用によるものです。
知識は、その人の人格や体験あるいは直観を通じて見識となります。

見識は現実の複雑な事態に直面した場合、いかに判断するかという判断力の問題だと思います。

胆識は肝っ玉を伴った実践的判断力とでも言うべきものです。
困難な現実の事態にぶつかった場合、あらゆる抵抗を排除して、断乎として自分の所信を実践に移していく力が胆識ではないかと思います。

致知出版社のページより引用)

今は単なる知識は検索すれば、すぐに得られる時代です。
知識を単純記憶することではなく、それを体系としてインストールすること。

そうすることによって判断できる材料として知識を使うこと(見識)。
さらに自分の人間力を高め、実践する力(胆識)に昇華させることが、現代は求められているように感じています。

知識の適用範囲の変遷

古代における知識の適用範囲

ソクラテス・プロタゴラス、道教/禅宗・儒教の古代から、現代におけるまで、知識の範囲は大きく変わってきました。

古代では上述のような対立はあったものの、行為に関わるもの、効用を得るものは知識ではないという意味では一致していました。
効用を得るものは知識ではなく、「技能(テクネ)」と呼ばれていました。

技能(テクネ)を学ぶ唯一の方法は徒弟となり、手本を見て真似ることだけでした。

テクノロジーの誕生

1750年頃、「技能(テクネ)」が「体系(ロジー)」立てられました。
そう、テクノロジーの誕生です。

それまで徒弟となり、手本を真似て得ることしかできないものが、体系となり学べるようになりました。余談ですが、今でも「見て盗め」という職人さんは、200年以上も前の世界観で生きているのでしょう。

これによって知識が道具、行程、製品に適用され、産業革命が起こりました。

仕事、知識そのものへ適用

さらに1880年代以降から、知識が仕事へと適用されます。
生産性革命が起こり、ブルジョワ階級が生まれたのは、この頃です。

さらに第二次大戦後、知識は知識そのものへ適用されるようになります。
知識が、土地・資本・労働を差し置いて、最大の生産要素になりました。
実際、今の社会は、知識さえあれば、土地やお金・労働力を得ることは難しくなくなりました。(少なくとも大戦前と比べて)

知識が最大の生産要素になったことで「マネジメント」が生まれました。
この辺りの変遷を詳しく知りたい方は、こちらの本がお勧めです。

知識は細分化・専門的になり、その知識を持つ個人と社会を結びつける機関が「組織」です。マネージャーは、知識労働者の能力を引き出すようなマネジメントが求められるようになりました。

知識労働者たる個人は、1つの組織(会社)よりも、長生きするようになりました。
自らの知識を深め・広げながら、自らのキャリアを築いていく。
そんなセルフマネジメントが求められるようになったのです。

このように歴史的に見ると、知識・マネジメントが必要とされる背景が理解できます。
そして知識を活かす組織づくりができなければ、成果は上げられません。

  • 紙やハンコのために出社を要請する
  • 満員電車での通勤を強いる
  • 日報のためだけにオフィスに戻らせる

こんなマネジメントが知識労働者の強みを引き出せるはずがないのです。
私は日頃、ITやデータ活用を提案していますが、それは知識労働者が自分の強みに集中できる組織を目指していただきたいからです。



【編集後記】
生まれて初めて、人文社会科学の論文を読みました。
学術的なところは難しく、眠くなりましたが(汗)
逆に面白いところもあり、コンサルティング用のスライドを更新しながら、何とか読了。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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