プロジェクトを円滑に進める上では、顧客内・ステークホルダー間の関係性を整理しておく必要があります。この記事では、なかなか上手く進まないRPAプロジェクトを例に、顧客内の関係整理の重要性をお伝えします。
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全く前進しないRPAプロジェクト
あるRPAプロジェクトのこと。
ある日突然、起案者であり決済権も持つ部長がRPAを使うことを決めました。
ITベンダーのAさんは、依頼を受けて、そのプロジェクトミーティングに参加しました。
Aさんは、要件を聞き、製品の説明を行いました。RPAはお客様自身で触れるようにならないと真の効果を発揮しにくいことも伝えて、現場からRPAを学ぶ人を決めるように依頼しました。個人的には、この案内は素晴らしいと感じます。
しかしその後、いつまで経ってもRPA担当者が決まりません。ミーティングには課長と現場のメンバーが出てきているのですが、どうも空気が怪しかったそうです。
怪しい空気から何を読み取るか?
怪しい空気とは、具体的には以下のようなことでした。
- ミーティングに起案者・決裁者の部長が出てこない
- 現場メンバーはRPAを学ぶ意義が分からないし、今の仕事のやり方に問題があるとも思っていない
よくよくヒアリングしてみた結果、このプロジェクトの状態は下図のようなものだと分かりました。
部長がRPAを導入したい理由は、稼働時間を減らすことで社長にアピールしたいのでは?ということが分かりました。業務の効率を上げて稼働時間を減らし「もっとクリエイティブな仕事に人員をシフトする」と口では言うそうです。
しかし、具体的な「クリエイティブな仕事」が何かは、全く話が出てきません。それよりも、「もう社長に言っちゃったから、絶対削減してね」の一点張りです。
人間関係図を作成する
こんな状態から人間関係を推測すると、このような状態なのではないでしょうか。
- 部長は実績をアピールして、社長に何とか認められたい
- 社長がこの部長をどう思っているか?は、分からない
- 部長は「後は任せた」というタイプなので、現場を動かすためには課長を少し頼りにしている
- しかし課長は、上司である部長を「面倒くさい人」と思っていて、今回の件も「またか・・」という感じ
- 現場のメンバーは、自分たちを削減対象としか見ていない部長に対して不信感を抱いている
まぁ、この時点でプロジェクトが上手く進むわけがないですよね。チームが共通の目的を持たない限り、プロジェクトは上手くいきません。しかし現状は、部長と現場のメンバーの間で、相反すると言って良いくらい、仕事に対する認識や目的が異なっています。
ここまで人間関係や仕事に対する目的意識を整理した上で、ITベンダーのAさんと、次に打つべき手を検討しました。
今回は少人数のRPAプロジェクトを例に挙げましたが、あらゆるチーム活動において、困難が生じているときほど、このように人間関係を整理しておくと、実態把握ができるようになります。私は過去に大型プロジェクトに関わったときには、このような図を作成していました。
- 意思決定者と、その人に影響を与える人
- 目的意識のズレ
- 強い感情
などは分かるようにしていました。
それによってプロジェクトがスムーズに進みますので、作成することをお勧めしています。
- 難航しているプロジェクトでは、目標の共通化ができていない
- 背景にある仕事観・価値観からズレていることも多い
- それらを把握するためには人間関係を図にすると効果的
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