こちらの記事でCRMで失敗しないためのポイントをご紹介しました。
この記事ではもう少しポイントを補足します。
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Contents
そもそもなぜCRMが必要なのか?を考えていない
理由の1つ目。なぜCRMを導入するのか?があいまいなまま、進めてしまうことです。
最近はクラウドでCRMツールを手軽に導入できるようになりました。このブログで良く紹介する「zoho CRM」は無償版からでも始めることができます。まず使ってみる環境があるのは非常に良いことですし、慣れることによって得られるものがあるのも事実です。ただ、CRMに関して言えば、きちんと目的を明確にしてから導入することを推奨します。
業務プロセスが定義されていない
2つ目は、業務プロセスが決まっていないことです。
- どのように見込み客を獲得するのか?
- 契約を獲得するまでに、どのように商談を進めていくのか?
- いつ、どのようなフォローアップを行うのか?
このような業務プロセスが定義されていない状況で、CRMを活用する(データ分析する)ことは極めて困難です。PDCAサイクルを提唱したデミング博士もこのように言っています。
定義されていないものは管理できない。管理されていないものは測定できない。測定されていないものは改善できない。
「定義→管理→測定→改善」と物事が進んでいくことが分かります。しかしマーケティングや営業は属人化していて、業務プロセスが定められていないことがほとんどです。
顧客や商談のステージが決まらない
同様に顧客や商談のステージが設定されていないことも、ほとんどです。
- 初回客にどうやって2度目の顧客になっていただくか
- 何回・いくら購入してもらったら優良顧客なのか
- 未だ購入しないけれども、メルマガは開封している見込み客がどれだけいるのか?
このようなことは、顧客のステージ(状態)が定義されていなければ、測定できません。ここでもデミング博士の言う通りです。
商談のステージについても同様です。
- ニーズ把握は終わっているか?
- ニーズの内容に応じた提案になっているか?
- 競合他社は入り込んでいるのか?
- 予算はいくらなのか?
- 決裁者は誰なのか?
商談のステージが定義されていれば、各ステージで把握しなければならない情報も決まります。逆に定義されていなければ、最後の最後になって「突然現れた経営者にプロジェクトごとひっくり返された」というような悲劇が現れたりします。
CRMを活用するには、業務プロセス・顧客/商談のステージを定義することが必須なのです。そして、これらはツールを入れる前にやるべきことです。この点を疎かにして、ツールを導入しても活用できません。
営業部門以外が関与しない
次に組織の問題です。CRM導入前・導入後ともに「営業部門が勝手にやっている」ことになっている会社は多いです。しかし、顧客に関わるデータを蓄積・活用するのがCRMですから、ほぼ全ての部門が関係することになります。
先に挙げた業務プロセスも、以下のように複数部門が関わります。(あくまでも定義の問題で、少人数組織の場合は役割を兼務していることも多いです)
- 見込み客の獲得(マーケティング・広報部門など)
- 契約の獲得(営業部門)
- サービスの提供とフォローアップ(サービス部門)
さらには商品・サービス企画の部門も関わります。
ですからCRMの導入・活用は、必ず経営者が中心となって旗を振ることが大切です。
顧客とのコミュニケーションを誤解する
CRMは既存顧客を優良顧客にして、売上・利益を最大化することを目指します。その裏にあるのは、あくまでも顧客満足であり、顧客への価値提供です。顧客にしつこく連絡するのが目的ではありません。
例えば、注文履歴を分析して優良顧客に対し、ディスカウントセールを行うDMを送付する。最近、利用がなくなっている顧客を抽出し、購入を促すためにクーポン付きDM送付や電話をかける、というような施策を取るとします。
昨今、こういう行為はむしろ嫌悪されることの方が増えているのではないでしょうか。繰り返しになりますが、大切なのは顧客に満足してもらうことです。顧客の立場に立って、コミュニケーション方法を改善していくのがCRMの考え方です。
したがって、常に顧客の反応を見ながら、改善を繰り返していかねばなりません。
ツールは導入までよりも導入後の活用がメイン
業務プロセスや顧客・商談ステージを定義するなど、CRMは導入前に検討事項が多くあります。しかしそれでも、ツールは導入までよりも導入後がメインです。使われないツールは、お飾りでしかないからです。
日本でSFAやCRMが盛り上がり始めた10年以上前、多くの大企業がツールを入れたものの成果を上げずに失敗しました。何億円という投資が消えていったのです。理由は、今までご紹介してきたようなことでした。
昨今、安価なツールが出てきて使いやすい環境が整ってきましたが、それでも失敗の原因は共通しています。つまり、失敗原因はツールそのものではないことがほとんどです。CRMベンダーは導入までを急ぐでしょうが、利用者側としては、しっかり準備をして、活用することを強く意識しなければなりません。
- 営業はデータを入力しているか?(してなければ、その原因は何か?)
- 営業以外は活用しているか?
- 経営者は定期的に(ほぼ毎日)レポートをチェックしているか?
事業に役立ててこそのCRMです。失敗しがちなポイントを認識して、上手く活用したいですね。
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