組織

中小企業の採用における課題をクリアするためのポイント

うちは中小企業だから採用が難しい」という嘆きを良く聴きます。
では、中小企業が採用で成功するためには、どうすれば良いのでしょうか。

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大企業と中小企業の採用における違い

求職者(中途や学生)の気持ちになって考えてみましょう。大企業は、既に知名度が高く、提供している商品・サービスも知られています。また就職後の安心感があります。

中小企業の多くは、会社名も商品・サービスも知られていないことがほとんどです。知名度がないことから、本当に応募して大丈夫かな?という不安がつきまといます。

この知名度・安心感という2つのギャップを埋めることが、中小企業でも採用を成功させるポイントです。では、具体的にどうするかを見ていきましょう。

採用メディアに広告を掲載できない

大企業は大手求人メディアに広告を出します。検索すると目立つところに出てきます。莫大な広告費を使える大企業ならではの戦い方です。しかし、中小企業にはそんな広告費は使えません。悔しい気持ちは分かりますが、実はそんな広告費を使う必要もないのです。

例えるなら、大企業に応募する人は、知名度の高いアイドルを追っかけているようなものです。確かに見た目は良いのですが、応募する本人は、その企業が行っている事業の本質を理解していなかったりします。(もちろん研究し尽くしている人もいますが、少数派です)

一方で、同じクラスの性格の良い子に想いを寄せる現実的な人もいるのです。中小企業が狙うべきは、このような人達です。

例えば、地元の大学や専門学校などと連絡を取って、求人情報を載せてもらう。このようなやり方で費用もかけず、着実に採用をしている中小企業は、実は結構多いものです。

同じクラスの子に想いを寄せる堅実派は、大手求人サイトだけでなく、地元の情報をしっかりと拾いに行っています。そういう人達に見つけてもらえるよう、情報を発信しましょう。

会社の知名度やブランドが弱い

一部の大企業でない限り、会社名そのもので検索してもらうことなどできません。では逆に、どういうキーワードで検索したら貴社のホームページが出てきますか?

今、求人の大半はスマホからの検索で行われています。上述の通り、大学などで求人情報を出すことも有効ですが、やはり最終的には貴社のホームページに呼び込むことになるでしょう。つまりスマホで読みやすいホームページができていなければ、前提条件を満たしていないのです。

スマホで読みやすいホームページができていたとして、知名度やブランド力に劣る中小企業は、どのようなコンテンツを掲載すべきでしょうか。私は以下のようなコンテンツが重要であると考えています。

  • 経営者の事業に対する想い
  • 会社が大切にしている価値観(ビジョン・ミッション・バリューなど)
  • 事業の内容(学生にも分かるくらいやさしく。専門用語は極力使わない)
  • 働く社員の1日(写真付きで、実際に働くイメージができるように)
  • 会社のイベントなど(働くだけでなく、その会社で「過ごす」イメージができるように)
  • 採用条件

高いブランドを持つ大企業ですら、数年で辞められてしまう時代になりました。〇〇商事・〇〇銀行・大手メディア・大手広告代理店など、かつては絶対に辞めない高いブランドを持っていた企業ですら、若者は何の躊躇もなく、数年で辞めていくようになりました。

ブランドのパワーが確実に落ちているのです。若者ほど、やりがいがあり、社会的意義がある会社を選ぶ傾向が強くなっています。そして、自分と価値観の合う会社を探しています。ですから、単に採用条件を載せるだけでなく、上述のようなコンテンツが重要になっているのです。

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スキルの高い人が採用できない

大企業に比べると、スキルの高い人を採用しにくいでしょう。しかし、それも大きな問題ではありません。これからの採用は、スキル以上に「価値観が一致するか?」の方が大切です。

求職者は給与などの諸条件よりも、自分と価値観が合う会社を探しています。ですから会社側が価値観を明確に打ち出さないといけないのです。中小企業において給与などの条件は、そう大きく変わりません。条件よりも、経営者の想いや働く姿を伝えて、「あの場所で一緒に働きたい」と思えることが重要なのです。

長く一緒に働けるかどうか?はスキルよりも価値観の一致で決まります。どんなに高いスキルを持った人でも、価値観が合わなければ、その力は発揮できません。

教育以上に採用に時間をかける

中小企業は大人数の面接を行う人的・時間的な余裕がありません。仮に100人が一斉に応募して来たらパンクするでしょう。1年に何100人も採用する大企業と同じやり方をしてはいけません

むしろ、入り口は狭くする方が良いのです。価値観の合わない人には、応募してもらわない方がお互いのためなのです。極論言えば、1人面接して、その1人が採用できるのがベストです。

そのため採用までには多少、時間をかける方が確実です。

  • 求職者が本当に自社のことを理解してくれているか?(説明は十分か?)
  • 自社は、本当にその求職者のことを理解しているか?

世の中では「求人の成功率は良くて3割」などと言われています。10人採用して、経営者が成功と思える人が3人しかいないということです。経営者としては、とんでもない博打ではないでしょうか。人に掛かる費用が固定費の大半を占めるのですから。

その成功率を少しでも高めるためには、本当にお互いを深く理解しているかを確認すべきです。私の知るIT企業(社員数30数名)では、応募から採用までに1年近くかけるそうです。

面接後、一緒にプロジェクトにいくつか参加してもらい、実際の仕事を通じて、お互いに誤解がないか?本当にお互いを必要としているのか?を確かめるとのことでした。この会社の場合は教育よりも採用に時間をかけているのですね。(採用プロセスが教育になっているとも言えます)

「入社後に教育すれば何とかなるだろう」は危険です。教育も大事ですが、入り口である採用を徹底することが、結果として強い組織づくりにつながります人が足らないときは採用を焦りがちですが、そうならないよう、日頃から時間をかけて採用活動を行いましょう

まとめ
  • 大企業と比べて弱い、知名度と安心感のギャップを埋める
  • 求職者の知りたい情報をしっかりと伝える
  • お互いを深く理解した上で採用する
  • 採用活動は、焦ったら失敗する

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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