「紙の業務をタブレットなどのツールに置き換える」のは、どんどん進めるべきことではあるのですが・・ちょっと待って下さい！！
単に紙（アナログ）をデジタルに置き換えるだけでは、ほとんど効果は生まれません。その先を見据えるようにしたいです。飲食店のキャッシュレス化を例に見てみましょう。
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キャッシュレスに置き換えるだけでは、お店側の効果は薄い
一般的な飲食店の業務プロセスは下図のようになっています。
お客様が入店したら、ホールスタッフはお客様を席に案内し、注文が決まるタイミングを様子見します。注文が決まったら聞いて、それをキッチンスタッフに伝えます。紙（メモ）を渡すこともありますし、口頭で伝えていることもありますね。
キッチンでは注文通りに調理をして、できあがったらホールスタッフが配膳します。お客様が食べ終わって席を立つとレジに行き支払い（現金）という流れです。
これをキャッシュレスに変えたらどうなるでしょう？
そう。ほとんど何も変わりません。
お客様にとっては、ポイント還元があったり、現金を取り出す手間が省けたり、良いことがあります。お店にとっても閉店後のレジ締めがラクになりますが、現金が一部でも残っている限り、ほとんど負荷は変わりません。むしろ決済手段が複数になった分、手間が増えるかもしれません。
お客様の利便性を上げるためにキャッシュレスを導入する店舗も増えています。しかし、ここまで見てきたように、お店にとってもメリットがない限り、苦しいのが正直なところだと思います。決済手数料が掛かりますから。
ここまで見据えて「キャッシュレスは導入しない」と言っている経営者も多いように感じます。ただでさえ原材料や人件費の負担が増えている飲食業界（に限らないですが）。「これ以上、利益を削られたらたまらない」というのが、多くの中小飲食店の本音ではないでしょうか。
それは単なるOA化（オフィス・オートメーション化）
では、キャッシュレスの意味はないのか？というと、そんなことはありません。
ちょっと話は脇道にそれます。
今までの業務プロセスを変えずに、一部の業務をアナログからデジタルに変えることをOA化（オフィス・オートメーション化）と言います。
- 電話をインターネット（電子メール）に変える
- 郵便をネットに変える
- 帳簿を紙からソフトウェア（データベース）に変える
日本では1980年代にこの流れが加速しました。
（それでも電話も郵便も、まだまだ残っていますが・・）
ここまで述べてきた現金支払いをキャッシュレスに変えるのは、あくまでもOA化です。業務プロセスが一切変わっていないからです。せっかく現金からキャッシュレスに変えるのであれば、デジタルの範囲をもっと広く捉える「IT化」で、大きく成果を出しましょう。
業務プロセスごと変える例
例えば、このように業務プロセスを変えたらどうでしょうか？
お客様は入店したら、自分で（スマホやタブレットなどで）注文と支払いを済ませます。その注文を受けたらキッチンでは調理を行います。ホールスタッフは調理が終わったら配膳して、お客様は食べ終えたらお店を出ていきます。
ホールスタッフは注文とレジ業務から開放されるので、かなり楽になります。人数を減らすこともできるかもしれません。と言うより、料理ができたらキッチンスタッフが運べば良いだけですよね。（人件費の削減）
支払いをキャッシュレス（デジタル）にしたことにより、お客様が注文と支払いを同時にできるようにしたことがポイントです。実際、これは中国などキャッシュレスが進んでいる飲食店では、良く見られる光景だそうです。
私も秋葉原のキャッシュレス専用カフェで、入店する前に支払いを完了させたことがあります。
お店から見ると、注文と支払いが全てデジタル化されるので、売れている商品の傾向を分析するなどが簡単に行えます。
今までの業務を変えずに一部をデジタル化する（＝OA化）のではなく、業務プロセスそのものを変えて改善していく取り組みをIT化と言います。
今回はキャッシュレスを例にお伝えしましたが、その他のIT化についても同様です。単に業務プロセスを変えずにツールを使うのではなく、業務プロセスそのものを変えていくことに、ITツール（システム）活用の意義があります。
- 業務プロセスを変えずに一部をデジタル化するのはOA化
- OA化では、得られる効率化は部分的
- 業務プロセスそのものを変革させるのがIT化
- IT化の方が効果は大きい
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