組織

会社は学校ではない?

「会社は学校ではない!」

このところ、何度か聞いたコメントです。
こんなコメントが出てしまう背景や、社員側・会社側がそれぞれ認識すべきことを挙げてみます。

「教えてもらって当然」ではない

まずは社員向けのコメントです。

最近、経営者からのボヤキを聞くと、「(学校のように)教えてもらって当然」という姿勢の社員が多いように感じます。
どういう背景・意識から、社員がこういう姿勢になるのかは分かりませんが、当然であるはずがありません。

  • 学校は授業料をもらって教えることが本業
  • 会社は給料を払っていて、教えることは本業ではなく、事業の成果をあげる手段に過ぎない

「何も教わってないのに働けるわけがない」と言われるかもしれません。
確かにそういう一面もあります。
最低限の情報共有がされない限り、仕事を進めることはできませんので。

その一方で、様々な企業を見てきている立場から感じるのは、あまりにも「指示待ち人間」が多いことです。
本来、「仕事」とは、自分で課題を設定し、解決策を考え、実行することではないでしょうか。

言われたことだけをやるのは、仕事ではなく単なる「作業」です。
単なる「作業」だけやっていたら、システムやロボットに置き換えられてしまっても仕方ありません。

  1. 教えてもらっている時間にもコスト(金銭的・時間的)が掛かっている
  2. そのコストを取り戻す以上の成果を上げなければならない

ということは、社員の立場として認識しておくべきことではないでしょうか。

素晴らしい上司の一言

ちなみに私は新卒で入った会社の上司に、こんなことを言われました。

「給料の最低 3倍は稼いで欲しい。でなければ、教育などの投資もできない」

今思うと、最初に良い上司に巡りあえたと感じます。
まだ会社のお金のことなどを理解していなかった新人に、非常に分かりやすく大事なことを伝えてくれました。
その後、私は自分が欲しいお給料の最低 3倍を売りあげられるように努めました。

色々と書きましたが、「教えてもらって当然」ではありません。
お給料をもらっている以上、それに見合った成果を上げることが必要です。
(もちろん、ここでの成果とは、売上・利益に限った話ではありません)

自分で学ぶ姿勢が必要

大企業などでは、新入社員が入社してきてから、何ヶ月にも及ぶような研修を提供していることもあります。

そんな話が巷に流れていることが、「うちの会社は教えてくれない」ということに繋がっているのかもしれません。

余談ですが、大企業で研修漬けになっている本人たちに聞くと、かなりツラいそうです。
研修がキツイということもあるでしょうが・・
「まだ何の貢献もしていないのに、入社前から、そして入社後もこんなに投資してもらっていることがプレッシャーだ」というのです。

しかし、普通の会社にそんな余裕などあるわけもありません。
普通の会社は、今いる人数ギリギリで、目の前の業務を進めているのです。
できる限り早く研修を終えて、実務で役立ってほしいと、切に願っているのです。

ですから、「仕事をしながら学ぶ」姿勢が重要だと考えています。
分からないことを自分で調べたり、人に聞いたりして、学んでいく。

研修のような特別な時間をとってもらったり、手取り足取り懇切丁寧に教えてもらうことは、滅多にない「有難い」ことなのです。

抽象度の高い論理思考力が落ちている

ここからはオマケです。
私がもう1つ気になるのは、抽象度の高い論理思考力が足りていない(と個人的に感じている)ことです。

最近は塾の教え方が非常に上手くなりました。
YouTubeを見ていると、めちゃめちゃ分かりやすい解説動画が出てきます。

こういう「分かりやすい」解説が出るほど、私たちの想像力は落ちていくのかもしれません。
同レベルの詳しい説明をしない限り、理解・納得できない人が増えているように感じています。

残念ながら事業会社は、こういう基礎から教えてくれるような場所ではありません。

  • 学校:個別スキルだけでなく、学習法・思考法や基礎学問などから教えてくれる場所
  • 会社:仕事に直結するスキルを教えてくれる場所

学習法や思考法、基礎学力などが不足していると感じたときには、自分で時間・お金を使って学びに行きましょう。
それを会社に求めるのは筋違いと言えます。

これらを踏まえた上で、教育を徹底している会社は、素晴らしい組織だとつけ加えておきます。
会社(経営者)に向けたコメントは、次回に続けます。

まとめ
  • 会社は「教えてくれる場所」ではない
  • 教えてもらうことより、成果を上げることを優先すべき
  • 学習法や基礎学問は、自分で時間とお金を使って学びに行く

【編集後記】
複数の経営者からぼやきを聞いたので、記事にしてみました。
ここまで書いて、研修などの教育機会を提供してくれた(当時勤めていた)会社には、本当に感謝しかありません。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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