この連載では業務プロセスとは何か?をご紹介しています。
前回は家庭でカレーをつくることから業務プロセスの制約条件について考えました。今回は、もう少し業務プロセスを掘り下げるために、レストランでカレーを提供する業務から、業務プロセスを可視化するメリットをご紹介します。
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登場人物が明確になる
家庭でカレーをつくるのと異なり、業務としてカレーをつくるとなると、登場人物が一気に増えます。業務プロセスを可視化することで、その登場人物を明確にすることができます。
購買(材料管理)
残りの数量や利用期限など、在庫を管理して、売上予測を元に材料を発注します。間違いなく納品されたかのチェックも行います。規模の大きなところですと専門の購買担当がいるでしょうが、シェフがレストランの営業時間外にやっていることもあるでしょう。
また何かを購入するということは、相手がいるということです。農家だったり、業務用スーパーなどが購買プロセスには関わってきます。
下ごしらえ
野菜や肉のカットや、事前の味付けなど、料理する前の下ごしらえを行います。新人や若手のシェフがやることが多いのではないでしょうか。先輩シェフが指導することもあるかもしれませんね。
料理・提供
メインの料理はシェフが行います。盛り付けが終わったらホールスタッフに運んでもらいます。ホールスタッフはお客様に料理を提供します。
皿洗い・片付け
食べ終えたお皿をホールスタッフがキッチンに下げて、皿洗いは新人シェフやアルバイトが行います。
その他
そして、図には含まれていませんが、店の売上やスタッフ管理など、全体を管理している店長や経営者がいます。
業務プロセスには、様々な関係者(ステークホルダー)がいるとお伝えした通りです。
このように業務プロセスを可視化することによって、関係者が明らかになります。何も書かずにボケっと考えていたら、大切な関係者を忘れてしまいます。
例えばホールスタッフは、直接の関わりがないため、材料を提供して下さる農家の存在を忘れてしまうかもしれません。でも、ちゃんと農家の存在を覚えていれば、その農家がレストランを訪れてくれたとき、丁寧に挨拶することができるでしょう。農家とレストランの環境がより良くなるでしょうし、お互いに気持ち良く仕事ができるようになります。
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管理項目が明確になり、改善のキッカケになる
業務プロセスを可視化することで、どのプロセスで何を管理すべきかが明らかになります。
図はザックリしたイメージですが、各プロセスで何を管理すべきかを追記しました。例えば、キッチンやホールの責任者は毎日のシフトを管理しなければなりません。
経営者や店長から見ると、POSデータから売れ筋商品を把握できるでしょう。また、在庫やスタッフ管理の情報からFLコスト(原価・人件費)が分かり、FL比率を出すことができます。これは飲食店では非常に重要な経営指標です。
さらに、注文から顧客に提供するまでの時間を測ることで、サービスの品質をチェックすることができます。このように測定したい管理項目を設定することで、業務プロセスの改善に役立てることができます。
共通認識を持って教育できる
業務プロセスが明確になっていると、スタッフ教育がやりやすくなります。
「下ごしらえをしておいて」という指示だけでは、全くの未経験者は何をすれば良いのか、検討もつきません。
しかし、下ごしらえというプロセスが、以下のように定義されていれば、新人でも何がゴールかをイメージすることは出来るようになります。
- 朝の10時までに(期限・制約条件)
- 玉ねぎ100個、ニンジン100本、ジャガイモ100個を切って、水に浸しておく
- 牛肉10kgを細切れにしておく
全員が共通認識を持って、教育に活かすことができます。
- 業務プロセスを可視化することで、以下のようなメリットがある
- 関係者を洗い出すことができる
- 管理項目を定義して、改善のキッカケができる
- 共通認識を持って教育に活用できる
この連載の目次です。
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