顧客との時間を最大化すべき営業パーソンの多くが「資料作成」に悩まされているようです。
その実態と、解決方法をご紹介します。
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営業が資料作成に悩まされている実態
PR Timesさんの記事によると、営業パーソンは資料作成に多くの時間を取られているようです。
以下のグラフは、営業パーソンが最も時間がかかっていると思う業務です。
(PR Timesさんの発表記事より引用)
移動時間はテレワークの浸透で減らせるとしても、資料作成はリモートワークになってからも増えているそうです。
同じく、PR Timesさんの記事です。
- 約3割の営業パーソンが「1日1時間以上の残業をしている」
- 一番時間がかかっている業務として最も回答が多かったのは「資料作成」
- 「資料作成」に一番時間がかかっている人の半数が、業務時間の50%以上資料作成に時間がかかっている
- リモートワークになってから増えたと思う業務も、資料作成が1位
- 資料作成の年間推定損失コストは、営業パーソン1人あたり619時間、約167万円
単に現場がツラいというだけでなく、明らかに組織としての問題を含んでいそうです。
つまり、構造的な問題であるということ。
これを受けて、組織と個人、それぞれで取り組んだ方が良いと思われることを挙げてみます。
組織的に取り組むべきこと
まず、組織として取り組むべきことです。
最初にお伝えしますと、資料作成には思考・表現・操作の3つのスキルが求められます。
逆に言えば、見栄えの良い資料をパクるだけでは改善につながりません。
パワーポイントの操作だけ身につけても、資料づくりは上手くなりません。
資料作成の流れを決める
私は提案資料や事業計画などの作成支援をすることもあります。
また、昨年からは資料作成講座(企業研修)の講師もやっています。
その経験に基づくと、多くの企業では資料作成の流れが決まっていません。
個々人に勝手に作らせている状態なのです。
元々、資料作成について学んだことのある人は良いかもしれませんが、そうでない人はかなり苦労するのです。
組織として、資料作成する際の流れをきちんと決めて、それを周知していく活動が必要だと感じています。
一例ですが、以下のようなステップです。
- 資料作成の目的を決める(→特に相手にとってもらいたい行動を明確にする)
- 全体メッセージを決める
- 要素・構成・流れを決める(→どこを誰がつくるのかを役割分担する)
- それぞれのスライドをつくる
- 全体チェック
マネジメントこそ資料作成を学ぶべき理由
このような流れもないまま、「資料作成お願いね」と丸投げされても、現場は困り果ててしまうのではないでしょうか。
その結果が、記事のような実態に現れています。
顧客との時間を最大化すべき営業パーソンが、資料づくりに追われているのですから。
実際、資料をつくる際、1~3が終わっていないのに、いきなりパワーポイントなどを立ち上げる人を多く見かけます。それでは絶対に速くなりません。
1~3が終わらないまま、役割分担して資料をつくってしまうと「手戻り」が多くなります。AさんとBさんで、書いた内容が矛盾したりするからです。
実際、私は提案書を受ける側になることもありますが、営業担当と技術担当で内容がズレてるな・・と思うことは非常に多いです。
また、資料作成を依頼した人が「こんな内容じゃない!」と、ちゃぶ台返しすることも。。ちゃぶ台返しするくらいなら、全体の流れ・構成を決めるところまではリーダーシップを発揮していただきたいものです。
資料作成は組織のパフォーマンスが直接あらわれます。
だからこそ、マネジメントは資料作成について学び、組織づくりに活かす必要があるのです。
なお、資料づくりに関連する別のところで時間を取られているケースも良く見かけます。
例えば見積をつくるのに苦労している、などです。
その場合は、見積の業務や仕組みに問題があります。
資料をテンプレート化して共有する
ある企業では会社案内・商品紹介すら、毎回営業パーソンがゼロから作成していました。
そんなことやっていたら、時間がいくらあっても足りません。
1件1件の提案をしっかり考え抜くことは重要ですが、資料をテンプレート化せずに、毎回ゼロから作り続けるのは別問題です。
いくら何でも非効率すぎでしょう。
小さな会社だと、パワーポイントの会社用テンプレがないことも多いです。
会社案内・商品紹介など、良く使う資料はテンプレート化し、それを全員で共有する。
誰かがテンプレートの管理者となり、必要に応じてアップデートします。
そういう体制を整えない限り、いつまでも現場の営業パーソンが悩み続けることになります。
無駄な残業が続き、会社としても損失を追い続けることになってしまいます。
個人が取り組むべきこと
繰り返しになりますが、資料づくりは思考・表現・操作の総合技です。
提案書づくりで言えば以下のようになります。
思考については、以下のような要素が挙げられます。
- 顧客のニーズをヒアリングし、そのニーズを満たす提案内容を決める
ヒアリングをスムーズに行うためには、ヒアリングシートなどを準備しておくと良いでしょう - 提案を実現するための構成要素を決める
例:背景・課題・解決策(コストや納期を含め)・効果 - 情報を整理するためのロジカルシンキング
抽象的なものから具体的なものを整理
この例からもお分かりの通り、提案書をスムーズにつくるためには、ヒアリングを上手くやらねばなりません。
そのためにも、過去に上手くいった事例などを社内で共有することが求められます。
表現については、図解やグラフなどを適切に選ぶことです。
箇条書きばかり、文章ばかりの資料では、読み手が疲れてしまいます。
適切な図解やグラフを使いましょう。
「選ぶ」ためには、事前に選択肢があり、選ぶ基準がなければいけません。
例えば、棒グラフ・折れ線グラフの使い分けルールを持っておく必要があります。
操作については、パワーポイントなどのツールに拠ります。
私の場合は、クイックアクセスツールバーとショートカットを駆使して、スピードを速くしています。
ただ、速くすることよりも「つくらない」ことが最も効果的なので、過去の資料をテンプレート化するように工夫しています。
このように思考・表現・操作が揃わないと苦戦します。
今、弱いと感じるところがあれば、そこを強化すべきです。
一番大切なのは、資料づくりに対して会社の環境が整っていなければ、積極的に声をあげることです。個人の頑張りだけでは、どうしても限界があります。
- 学ぶ環境を与えてくれているか?
(研修、参考図書など) - 資料作成の手順が決まっているか?
(それ以前にマネジメントが学んでいるか) - 良く使う資料のテンプレートが管理されているか?
これらの環境が足りない場合、残業し続ける羽目になってしまいます。
顧客との時間を最大化するためにも、無駄な残業に苦しめられないためにも、組織としてやるべきことを促していきましょう!
- 営業パーソンが資料づくりに悩まされている
- 組織として資料作成手順・テンプレートの整備は欠かせない
- 資料づくりは思考・表現・操作の総合技、弱いところを強化しよう
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【編集後記】
新年最初のコンサルティングを行いました。
研修は木曜日が初登壇。
企業も少しずつ動き出している印象です。
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変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。