7pay(セブン・ペイ)問題が大きくなっています。ネットで調べればいくらでも出てくるので詳細は省きますが、セキュリティの意識が全く感じられないレベルのサービスを展開してしまったという問題です。
見事に表現していたのが、このTwitter。
それにしても、「セブンイレブン、日本オラクル、NTTデータ、NEC、野村総合研究所という日本の大企業が集まって、1分で突破されるガバガバのあほシステムを作ってしまったのか?」という問題があるよね。「なぜこんなダメな事故を起こしたのか」という研究題材として秀逸な気がする。
— 鐘の音@三日目南ミ-31b (@kanenooto7248) 2019年7月4日
この記事では、この事件からスモールビジネスを営む私たちが何を学ぶか?を考えてみます。
<スポンサードリンク>
記者会見が炎上した理由
この事件(と言って良いでしょう)の記者会見で明らかになったのは、セブン経営者のITリテラシーの低さ。何も技術用語を知っているべきとか、そういう話ではありません。
普段から、ひとりの消費者としてITを使っているか?ということです。特にこのようなITを活用したサービスを企画・推進する立場にある方であれば、ITを日常的に利用するのは当然のことです。
日頃から自分が利用していなければ、より良いサービスを企画することなど出来ませんし、顧客の気持ちも推測出来ないからです。
普段からスマートフォンなどで、以下のことくらいは日常的に行うのが普通です。
- ニュースや天気などの情報収集を行う
- 地図や乗換案内などでの経路チェック
- ラジオ・音楽やオーディオブックを聴く
- 本を読む
- アプリで買い物をする
- 自分のスケジュールを管理する
- 家計の管理
- メールチェック
- チャットやWeb会議でコミュニケーション
- SNSで消費者の動きをウォッチする
- Evernoteなどのメモアプリにアイデアを蓄積
- 気になるWeb記事の蓄積
- 自分のタスク管理
- 食事や運動、健康チェック
特別なことなど、何一つありません。
パンツを履かないと外に出かけないように、常識として行うものです。
普通のことを普通にできないから、二段階認証すら知らなくて、さんざん叩かれる羽目に遭ったのです。二段階認証を知らないこと自体も問題です。
ただ、それ以上に「一利用者として普通にITを使っていないこと」が露呈したから叩かれるのです。ITを活用するサービスの事業会社トップが、です。推測ですが、自分の予定管理すら秘書に任せている。仕事のやり方が昭和の時代から変わっていない。
それが記者会見で露呈してしまったから、世の中から「大企業のお偉いさん、高い給料だけもらって何も仕事してないだろ!」と、叩かれる対象になったと感じています。
ITでサービス提供するなら、自分も徹底的に使う側になる
ここからは私たちの学ぶべきことです。1つ目は、ITを活用してサービスを提供するのであれば、まずは自分たち自身が、徹底してITを使う側になることです。
事業を運営する上で、最も難しいことの1つが「お客様の気持ちを理解すること」です。頭では分かっていても、自分のことになると、ついつい売り手の視点に立ってしまうのが、私たち人間です。
事業が上手くいくかどうかは、お客様の気持ちにどこまで近づけるか?に勝負が掛かっています。ですから、ITでサービスを提供するのであれば、日頃から自分たちがITを使う側になり、使いやすいサービス・気持ちの良いサービスとは何か?を調査し続けなければなりません。
日頃から使ってもいないのに「ウチもそろそろ、ITとかWebとかで○○をやろう」というのは勝手な売り手の都合に過ぎません。
サービスにITを使うなら、社内にITエンジニアを確保する
2つ目の学びは、ITでサービス提供をするのであれば、社内にITエンジニアを確保した方が良いということです。
今回、セブンが事業会社で、日本オラクル・NTTデータ・NEC・野村総合研究所という日本の錚々たるIT企業にセブンペイのシステムは発注されていたそうです。これだけの大企業が集まったにも関わらず、失敗した理由は何でしょうか?
複数の会社が居たので、そのマネジメントが上手くいかなかったのかもしれません。
ただそれ以上に本質的な問題があります。
これらIT企業にとっては、受注した金額で、契約期間内にシステムを納品すれば良いのです。サービスがリリースされた後、問題が起きたところで、納品完了していれば契約上は問題がありません。
- 発注者側はシステムを活用してビジネスを良くしたい
- 受注側は顧客の要求仕様通りに、システムを納品すればOK(導入後どうなるか?は無関心)
つまり発注者(セブン)と受注者(IT企業)の間で、向かうゴールが異なっているのです。残念ながら、システム開発を外部に発注するということは、そういうことです。これは受託開発やシステムインテグレーションの限界とも言える部分だと感じています。
事業側とITエンジニアのゴールを一致させるのであれば、社内にITエンジニアを確保するのが一番です。社内の人間であれば、事業の成功が自分にとってもゴールになります。現在、スモールビジネスにとってITエンジニアを採用するのは、非常に厳しい環境です。(超・売り手市場ですので)
しかし、その点から目を背けたまま「外部に丸投げすれば良い」と考えていると、セブンの二の舞になるのではないでしょうか。
- セブン・ペイで起きた問題は、私たちにも学ぶべき点がある
- 1つは私たち自身が利用者として、ツールを使う顧客視点を持つこと
- もう1つは、ITエンジニアの内製化を目指すこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ『経営は100種競技!』を毎日配信しています。
マーケティングやITを身につけたい。
ビジネスを楽しみたい。
変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。