ビジネスとITは、ますます密接な関係になってきました。単に自動化や効率化をするITの活用ではなく、ITを活用することで、お客様に喜んでいただける新しい価値を創造するようなケースも、次々と登場しています。
このような状況において、中小企業はITエンジニア(SE:システムエンジニア)を採用すべきなのでしょうか?
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各社の戦略次第と言ってしまえばそれまでなのですが(笑)
世の中の大きな流れと、採用する場合の注意点についてご紹介します。
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ITエンジニア(SE)はますます不足する
現在、ITエンジニアは圧倒的に不足しています。Dodaが発表したデータによると、技術系(IT・通信)の求人倍率は、何と7.95倍。たった1人のエンジニアを8社で争っていることになります。ちなみに、ITエンジニアの中でも特に『業務系アプリケーション、インフラエンジニア、Webサービス系のエンジニアの採用が特に活発』とあります。
また経済産業省のデータによると、今後、さらにITエンジニアは不足すると予想されています。エンジニア以外も含むIT人材のデータですが、2019年時点で約20万人、不足しています。
さらに、今後ますます深刻化していき、2030年には約59万人が不足するだろう、と言われているのです。
つまり、採用したいと思っても、そう簡単には採用できないのが現実なのです。自社でITエンジニアに活躍して欲しい、とお考えの方は、早めに活動された方が良いでしょう。
・AI、IoTなどの活用には、基本的なIT知識を持った人材が必要(必ずしもシステムエンジニアやプログラマーである必要はない)
社内にITエンジニア(SE)がいることのメリット
社内にITエンジニアがいることで、様々なメリットを享受することができます。
アイデアを素早く形にできる
何らかのアイデアを思い付いたときに、顧客の反応を見たり、実現可能性を評価する意味でも、素早く形にできることは大きなメリットです。
ちょっと顧客にヒアリングしたいだけなのに、外注を使って費用が掛かってしまうと、何度もテストはできません。そして、そういう企業が実に多いのです。お金も時間も掛かるので、アイデアを形にすることを躊躇してしまいます。そしてビジネスチャンスを逃してしまうのです。
私の知る会社は、社員数5名くらいの時点で、ITエンジニアを1人採用しました。Webでサービスを提供している会社ですので、余計にエンジニアが必要だったのです。ちょっとした画面の変更や、使い勝手の向上など、そのエンジニアが日々、実現していました。
ただ、アイデアを素早く形にすることは、「仕様書を下さい」という受け身のエンジニアではできません。一緒にアイデアを考えてくれるような、想像力豊かなエンジニアが必要です。
外注先(アウトソーシング先)と対等に話ができる
なお、1~2人程度では開発と言っても限界があります。規模の大きなものや専門性の高いものは外注を活用することになります。
そのようなとき、ITエンジニアがいると、外注先と対等に話をすることができます。自社側がIT素人だと、足元を見られることが非常に多いです。
「どうせ、自社では開発できないのだから・・」と舐められてしまい、高い金額を吹っ掛けられたり、テキトーな説明をされているケースを、何度も見てきました。(そこで私がツッコミを入れると、IT企業側は驚くのですが 笑)
自社にITエンジニアがいると、エンジニア同士の会話になります。IT企業側は、気を抜けなくなります。自社はエンジニアの言葉を使って依頼事項を明確に伝えられます。良い緊張感を持って、一緒に仕事ができるのです。
社内のITリテラシー強化になる
社内にITエンジニアがいると、パソコンなどを使っていて分からないことは、その人に聴くことができます。
情報システム部門のようなパソコンやツール類の調達なども、安心して任せることができるようになります。総務の方が片手間、かつ知識がない中で、無理やりパソコンのお世話などをやらされている企業が多いことを考えると、盤石な体制になります。
このようにして、社内全体のITリテラシーを強化することができるのです。
ただ、開発者としてのITエンジニアと、社内システムの面倒を見る情シスは、キャリアパスとしては別物です。採用した方のモチベーションを考慮する必要があることを、補足しておきます。
社内ITエンジニアへを採用する前の注意
なお、社内にITエンジニアを抱える前に注意しておきたいこともお伝えします。
人数が少ないと得手・不得手な分野が分かれる
IT企業でもない限り、1~2人しか採用できいのが、多くの中小企業の実態でしょう。そのような場合、どうしても得手・不得手の分野が現れてしまうことは避けられません。
「IT」と言っても、非常に範囲は広いです。「医者」でも心臓外科医と動物病院の先生では、対応できることは全く異なります。同様にITも様々な専門分野に分かれており、全てを網羅できる人間などいません。
また業務の面から見ても、人事・会計系などバックオフィスが得意な人もいれば、店舗系が得意な人もいるなど、ここでも得手不得手はあります。
「ITエンジニアなのに、こんなこともできないの?」という態度は、非常に失礼に当たる場合がありますし、結果としてモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。迎合する必要は当然ありませんが、相手のことを深く理解しようとする姿勢は必要です。(エンジニアに限った話ではありません)
成長できる環境がなければ、転職してしまう
ITエンジニアにとって、成長し続けられる職場環境は、非常に大切です。
技術変化の激しい世界ですから、常に腕を磨くことが、キャリアパスに繋がります。何よりも技術が好き、という人も多いのです。つまり「成長できる環境ではない」と見切られた瞬間、転職してしまうでしょう。
既にお伝えしました通り、ITエンジニアは完全なる売り手市場です。いつでも転職できるのですから、価値を感じない職場に居続ける理由がないのです。
社内の仕事は、スキルが成長するようなタイミングもあれば、そうでないこともあります。だからこそ、仕事以外にも成長できる環境を与える必要があります。例えば、社外における勉強会・セミナーへの参加を積極的に応援するのは良いことでしょう。
自社のために研修を依頼するのは、ITエンジニアの人数を考えると現実的ではありません。ですから、外の場へ行くことを会社として支援するのです。外で身につけてきた技術を自社の開発に役立ててくれることでしょう。
経営者の理解が絶対に必要(孤立させない)
IT企業でない限り、多くのITエンジニアを採用することはないでしょう。ただ、そのようなときに、ITエンジニアを孤立させてはいけません。
組織である以上、誰もが共通のミッション・ビジョンを持って働きたいと考えています。特に経営者から「何をやっているのか、良く分からないヤツ」という扱いを受けたら、組織の一員として誇りを持てなくなってしまうのは当然です。
経営者こそ、ITエンジニアの仕事内容を理解しようとする取り組みが絶対に欠かせません。別にプログラミングを学ぼうと言っているのではありません。どんな仕事内容なのか?何に困っているのか?など、他の専門職同様、対話をすれば良いのです。
そういうコミュニケーションをする気がないのなら、採用しない方が良いでしょう。
- ITエンジニア(SE)は、今後ますます採用困難になっていく
- 社内にITエンジニアがいることによって、外注との関係・ITリテラシーなどのメリットがある
- 一方で、ITエンジニアを雇うためには、注意すべき点もある
なお、ITエンジニア(SE)に関わらず、従業員全体のITリテラシーを上げることには、取り組んでおくべきです。これからは会社全体のITリテラシーの有無が、経営成績に大きく関係してくるでしょう。
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