巷には色んな自己啓発書が溢れかえっていますが、雑多なものを読むよりも、この1冊で良いのではないか?と思ってしまいました。
今回はP.F.ドラッカー著 『経営者の条件』のご紹介です。
タイトルに「経営者」とありますが、知識を元に働く人、全員が対象です。
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成果を上げる能力は習得できる
本書はすべてのプロフェッショナルに向けて書かれた本です。
現代は知識を使って仕事をする時代。
工場勤務の肉体労働者を管理するための経営とは、時代が全く変わりました。
「知識労働者」たる私たちは、どうやって成果を上げていくのか?
それについて書かれたのが本書です。
数多いドラッカー著作のなかでも、ダイヤモンド社から出ているこの赤本シリーズは有名です。その1冊目に位置付けられているのが本書『経営者の条件』です。
本書全体を通じて伝わってくるのが、「成果を上げる能力は習得できる」こと。
生まれ持った才能ではない。むしろこんなことが書かれています。
組織のニーズは、非凡な成果をあげることのできる普通の人によって満たされなければならない。
優秀な人たちが成果をあげるのではなく、普通の人が非凡な成果をあげる。
そういう組織を目指すべきなのでしょう。
実際、日本を代表する企業であるトヨタは、現場の1人ひとりが成果をあげることで成り立っている企業です。1人の天才が率いる企業ではありません。
本書はどこから読んでもいい
本書は序章に成果をあげるための8つの習慣、1章以降に成果を上げるための5つの能力について書かれています。
序章は後になって2004年に書かれたものです。
最初に本書が書かれたのは1964年ですから、その後40年分のドラッカーの見識が追加されたものと考えられるでしょう。
8つの習慣
- なされるべきことを考える
- 組織のことを考える
- アクションプランをつくる
- 意思決定を行う
- コミュニケーションを行う
- 機会に焦点を合わせる
- 会議の生産性をあげる
- 「私は」ではなく、「われわれは」を考える
さらに9つ目に追加したいものとして、「聞け、話すな」としています。
5つの能力
- 汝の時間を知れ(2章)
- どのような貢献ができるか(3章)
- 人の強みを活かす(4章)
- 最も重要なことに集中せよ(5章)
- 意思決定とは何か・成果をあげる意思決定とは(6・7章)
繰り返しですが、本書は1964年に書かれたものです。
既に半世紀以上も経っているのです。
にも関わらず、今も私たちが日々困っている出来事を、あたかも見てきたかのようにズバリと指摘してきます。
その「読んでて痛いポイント」こそが、本書を読んで「効く」ところでしょう。
例えば今回、私が読んでいて痛かったのは5章、集中についてです。
成果をあげる者は、新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。肥満防止のためである。組織は油断するとすぐ体型を崩し、しまりをなくし、扱いがたいものとなる。
私はそのときの興味で動きがちなタイプなので、ついつい新しい活動を足し続けてしまいます。フリーランスなので、人を増やしてはいませんが、自分の時間が足りなくなっていくのです。
成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。
ホントに耳が痛くなりました。。
時間の章(2章)に関しては、なぜ時間を奪われてしまうのか?
なぜ会議の生産性が上がらないのか?について、「うちのことだ~」と悲鳴をあげる方がいらっしゃいました。(読書会にて)
このように、誰しもが「痛い」と感じる自分なりのポイントがあります。
その周辺をじっくりと読んで、まず実践してみる。
本書は「理解する本」ではなく、「実践するための本」です。
全部を読んで理解することよりも、たった1行でも良いので痛いところを改善し、実践すると良いでしょう。
最後に余談ですが、2章(時間)・5章(集中)は『7つの習慣』に書かれていることと本質は同じです。
『7つの習慣』は1989年に出版されています。
当時、ドラッカーは既に知られた存在になっていますので、1964年に出ていた本書も当然のことながら研究対象になっていたでしょう。
本書を読んでおけば、分厚い『7つの習慣』も読みやすくなるように感じています。
細かなテクニックやノウハウに走り過ぎたメソッド本よりも、こういう本質的な問いを投げかけてくる本を、何度も味わいたいと思います。
- 成果をあげたいすべての知識労働者(エグゼクティブ)に書かれた本
- 8つの習慣と5つの能力からなる
- 自分が「痛い」と感じるポイントを読んで実践するのが良い
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【編集後記】
この3日間ほど、異様に眠いので、トレーニングは軽めにしています。
まだレースは先なので、焦らないように。
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