IT・システム全般

IT屋の作るマニュアルが分かりにくい理由

IT系のマニュアルって、どうも分かりにくいと感じませんか?
私は何度も感じたことがあります。

この記事では、IT企業に向けて、ユーザー企業から見たマニュアルについてお伝えします。

  • マニュアルをつくるのに手間ばかりかかる
  • その割にマニュアルの効果を感じない

こんなIT企業は必見です。

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「操作手順書は不要」が理想的

そもそもの話になりますが、私はシステム・アプリについて、「操作手順書(マニュアル)は不要」なのが良いと思っています。

AmazonやFacebook(Webでもアプリでも)などを使っていて、マニュアルが欲しいと思ったことはないでしょう。iPhoneも、滅多なことではマニュアル参照しないはずです。

一般消費者が利用する、このようなサービスには、ITに慣れた人もそうでない人もいます。そういった多様な利用者の日常操作に耐えうるだけの、使いやすいインターフェース(画面のデザイン)をしているから、マニュアルがなくても大丈夫なのです。

操作手順書を作らなければいけないような、ややこしいインターフェースをしたシステム・アプリはもったいないです。マニュアル作りに人の時間(=コスト)を割くくらいなら、インターフェースを分かりやすくする方が本質的です。

実際、AmazonやFacebookは見ていると、頻繁にインターフェースが変わっています。大きく変わることもあれば、一瞬では気づかないくらい、些細な変更のこともあります。それだけインターフェースの研究に、余念がないのです。

逆に言うと、良いインターフェースのシステム・アプリは、日々、進化していきます。操作手順書など作っていたら、その都度、改定作業が発生してしまいます。だから、操作手順書は不要なのです。

「100%の人が使える状態」を狙ってはいけない

では、AmazonやFacebookなどが、マニュアルがなくとも100%操作できるか?というと、必ずしもそうではありません。私自身、「あの機能はどこに行ったんだ?」と探したことが、過去何度もあります。

では、完璧なマニュアル(操作手順書)があれば良いか?というと、やはり、私はマニュアルは不要だと考えています。上述の通り、頻繁にインターフェースを変えるたびにマニュアルを作っていたら、コストが高くなるからです。

それに、多少利用者が迷うことがあっても、少し悩んで使えるようになるなら、それで良いのではないでしょうか。

日本人が作るマニュアルは、「100%迷わせない」「世の中全ての人を迷わせない」というポリシーで作られているように感じます。ですから、無闇矢鱈にマニュアルが分厚く、冗長になるのです。その無駄なマニュアルを作るのにも、コストが掛かっていることを忘れてはなりません。

また、「いついかなるときもマニュアルがある」という甘えが、利用者のITリテラシーを下げていると感じます。要するに、自分で考えたり探したりすることを放棄してしまうことを、世の中全体が受け入れているのです。

実際、駅の改札や空港では、自動発券機の使い方が分からなくて、人の窓口の方に行列ができていることを良く見かけます。日本人が「システムを使えなくても当たり前。恥ずかしくない」と思っていることの証明ではないでしょうか。

ひどいときには、発券機の横に人が居て、操作サポートしていることがあります。私は「そこに人が居たら何のコストダウンにもならないのに」、「日本人、甘えすぎじゃね?」と思っています。

「マニュアルはなし。操作は自分で調べろ!」
(その代わり、インターフェースの研究には余念がない)
というのが、私は理想だと思います。

なお、言うまでもありませんが、どんなにインターフェースが優れていても、例えば身障者には使い勝手が悪いことがあります。そういうことに対するサポート体制は、しっかり設ける必要があります。

IT屋の作るマニュアルが分かりにくい理由

やっと本題です。ここまでで、日本人のIT屋が作るマニュアルが分かりにくい理由が見えてきます。

1つ目は、インターフェースの分かりにくさを、マニュアルでカバーしようとしていること。そんな無駄なことをせず、ちゃんとインターフェースを作るべきです。

2つ目は、世の中全ての人が迷わないマニュアルを作ろうとすること。これも無駄です。探せば分かるレベルで十分でしょう。分かろうと努力をしない人まで救おうとしたら、どれだけコストをかけてもキリがありません。

これらを満たした上で、マニュアルが必要だとするならば、以下のようなものではないでしょうか。

  • そのシステムは、何の目的で使われるものか?
  • どういう業務シーンで利用されるものか?
  • 前提条件として必要なことや、知識は何か?
  • 完了条件は何か?
  • チェック方法は何か?

特に業務で使われるようなシステムの場合、そのシステムを使う目的や、使う前提条件があります。そして、使った結果がどうなるか?ミスを防ぐためのチェック方法はどうなっているのか?を知ることが大切です。

操作手順そのものは、ここまで書いてきたように、大して重要ではないのです。
むしろ上述したようなことをキッチリ書いて欲しいのですが、システム外のことになるためか、書かれていないことが多いのです。

この辺りを加味しない、ただただ冗長な操作手順書を見せられるとうんざりします。探すだけで時間が掛かるので、利用者から見ると「分かりにくい」となってしまうのです。

日本の生産性を高めるためにも、もしマニュアルを作るならば、インターフェースだけではサポートできない根本的なところを作るようにしましょう。

まとめ
  • UIの分かりにくさを、マニュアルでカバーしようとしない
  • 全員を100%を救うマニュアルをつくろうとしない
  • 機能一覧ではなく、そのシステム・ツールの目的や用途を明確にする

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【編集後記】
今日は午後から初めてのお客様にコンサルティングです。
気を引き締めて望みます。

今日も素晴らしい1日になります。感謝!!

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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