中小企業がITに投資すべき金額・内容をこちらの記事でご紹介しました。
ただ、実は金額以上に「時間」が大事だと考えています。
ITに関して時間を使えていない企業が、あまりにも多いからです。
しかもITへ時間を投資できなければ、確実に組織は衰退に向かってしまいます。
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驚愕の調査結果(中小企業はITに割く時間がない)
デルテクノロジーが発表したレポート(中小企業におけるIT担当者の業務環境)が、私には驚愕の結果でした。
中小企業におけるIT担当者の多くは兼任であり、IT管理業務に割く時間とIT関連知識が限られていることが明らかに
従業員99人以下の企業の9割以上のIT管理者は他の業務との兼任をしており、58%の担当者はIT管理に割ける時間はわずか1割ということが判明しました。
また、ITに関する知識レベルは「少しある(パソコンのカタログを見て機能・性能を理解できる)」と答えた回答者が40%と最も多く、一方で「十分にIT知識がある」と回答した人は9%とごくわずかでした。(出典はこちら)
従業員99人以下の企業において、IT担当者が兼任であることは、私の経験からも一致しています。専任のIT担当者がいることは稀で、総務などと兼任していることが多いです。
しかし、「IT管理に割ける時間はわずか1割!!」は驚愕でした。
そんなに時間が足らないのか、と。
月に160時間働くとして、1割ということは月間16時間です。
残念ながら、たったこれだけの時間では、ITのスキルを伸ばしていくことはできません。
IT担当者は雑務に追われる
理由は簡単です。月にたった16時間しかなければ、目の前の雑務に追われてしまうからです。
- パソコンの操作方法が分からないから教えて
- パスワード忘れちゃったんだけど
- この画面、なんか変なんだけど
- 大事なファイル消しちゃったけど、何とかならない?
- このデータ、週明けまでにまとめておいてね
このくらいの対応をしていたら、16時間など、すぐに消えてしまいます。
しかし残念なことに、これらの業務は(言い方悪いですが)雑務ばかりです。
『7つの習慣』で有名な「時間管理のマトリクス」で言うと、「緊急だけど重要ではない仕事(第3領域)」だからです。第3領域の仕事は、いくら対応したところで「火消し」をしているだけで根本的な問題解決になっていないことが特徴です。
例えば「操作方法が分からないから教えて」は、利用者のITスキルが上がれば発生しない仕事です。そのための教育を行うことの方が、実は重要な仕事ですが、月間16時間の限られた時間では、企画すら困難です。
ITへ時間を投資しなければ、戦略~企画の仕事はできない
IT担当者として、これらの利用者への対応業務は大事ではある一方で、以下のような第2領域「緊急ではないものの重要な仕事」に取り組まなければなりません。
- 利用者(ユーザー)のITスキル教育を行う
- 業務プロセスを見直して最適化・効率化する
- 新商品・サービスの企画にIT要素を組み込む
- ITを中心とする技術革新に対応して戦略を練る
下に行くほど、経営者寄りの仕事になっていきます。
目の前に利用者(ユーザー)対応の仕事があったら、これらの仕事には着手できません。
しかし、繰り返しになりますが、第2領域に取り組まなければ、中長期の改善・変革を行うことは不可能です。いつまでも改善・変革を行うことができなければ、その組織は世の中の変化に追随できず、消えていくことになります。
経営者がやるべき方向性は2つです。
- IT担当者がITに取り組める時間を増やすこと(上記1~4が実施できるまで)
- 経営者自身が1~4(特に3~4)などの仕事に取り組む
利用者の質問対応などは、IT担当者にお願いせざるを得ない仕事でしょう。
しかし、戦略・企画の仕事は、スモールビジネスの場合は経営者でないと、できないことがほとんど。
ですからIT担当者がITに取り組む時間を増やしてサポートしてもらいつつ、経営者が戦略・企画系の仕事に取り組むことになります。
特に経営者がITに弱い場合には、「教えろ!」というような関係ではなく、真摯にIT担当者の意見を聴いて、取り入れるようにしましょう。(外部専門家を活用する方法もあります)
- スモールビジネスでIT担当者が割ける時間が少なすぎる
- ITに関する戦略・企画などの第2領域を進めない限り、組織は変わらない
- 特に戦略・企画は経営者自身もITを学びながら、IT担当者と連携していくべき
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【編集後記】
今日は某所でインタビューを受けてきました。
人から質問をいただくことで、私自身が気づけなかったことに気づくことができました。
第3者を活用するメリットですね。
そのうち、動画が出来上がる予定です。
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