日本には数多くの組織が存在していますが、個人が活躍できる組織と、そうでない組織は分かれているのが実態です。
では、個が活躍できる組織と、そうでない組織とは何が異なるのでしょうか?
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個の活躍が求められる時代に
かつての企業組織は、「全員が同じ」であることが重要でした。
現代の価値観から見るととんでもないことではありますが、かつては大量生産・大量消費の時代。
労働者が機械のように同じような動きをし続けることで、同品質の商品を作り出すことが求められたのです。
より時代を遡れば、軍隊では個々の兵隊が勝手な判断をすることは求められません。
勝手に動いて軍を危険に晒すことになっては困るからです。
指揮官の命令どおりに動くことこそ、優秀な兵隊の証でした。
学校教育(特に公立の義務教育)は今でも「みんな同じ」ことを求めているように感じますが、それは昔ながらの価値観が未だに残っているからではないでしょうか。
しかし、現代は異なります。
全員が同じ動きをしたところで、生産性は高まりません。
今、日本で働く多くの人たちは、ドラッカーのいう「知識労働者」です。
このような時代に必要なのは、全員が同じであることではなく、個々人がその能力を最大限に発揮して、成果を上げることです。また、人それぞれ働くことに対する価値観も異なり、多様化してきています。さらに家庭環境や健康状態によって、働き方も人それぞれになってきました。
人手不足が続く社会において、組織が人を採用するためには、多様な価値観・働き方を認めざるを得なくなりました。むしろ、そういう働き方を積極的に採用している組織に、人は集まるようになっています。
このような時代に求められる組織力とは、全員が同質なことではなく、個々の違いを活かし、組織全体としてより大きな成果を上げられることです。
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大組織になるほど、個は埋もれやすい
では、どういう組織が個々人の力を発揮させやすいのでしょうか?
残念ながら、一般論として大組織になるほど個が埋もれていくのは、避けられません。
事業部や部署ごとに役割が異なり、個人は属する部署の役割をまっとうしないといけません。また、良く知られた大企業は、どうしても会社のブランドが強く印象づけられてしまいます。トヨタやパナソニックの方と出会ったら、どうしても個人よりも会社名が記憶に残ってしまいます。
余談ですが、私が上場大企業を止めたのは、個の力をもっと伸ばしたかったからです。会社の枠に収まって市場価値が低下していくくらいなら、個人として活動した方が伸びるだろうと考えたのです。
とは言え、組織の大小は要素の1つに過ぎません。
現に超大企業の人であっても、自分の能力を思い切り発揮している人もいます。
逆に、少人数の組織であるにも関わらず、個が埋もれてしまっている組織も多いのです。
経営層が個を活かす組織文化をつくっているか?
最も大きく影響があるのは、経営者自身が個を活かす組織文化をつくろうとしているか?です。特にスモールビジネスの場合は社長の意識・行動で、ほぼ決まってしまうと言えるでしょう。
小さい組織にも関わらず、個の能力が発揮されない組織は、社長が「兵隊」を求めています。
「俺の言う通りにしろ」
「言われた通りにすれば良いんだ」
「なんでそんなこともできないの?」
「余計なことをするな」
「新人のくせに」
このような言葉が出る社長は、軍隊的な組織を望んでいるのです。
(本人が自覚しているかどうかに関わらず)
一方、個を能力発揮を求めている社長は、かける言葉が違います。
「○○さんはどう思う?」
「こういう問題が起きているんだけど、なんか良いアイデアないかな?」
「その仕事だったら、○○さんが適していると思うけど、どう?」
「さすが○○さん!!」
色んな価値観・仕事観を持っている多様なメンバーを、組織のビジョン・ミッションで上手く束ねていきます。束ねるエネルギーは、社長が達成したいビジョンへの強い想いです。
また何よりも、社員一人ひとりに対する信頼が違います。
個の力を発揮する組織の社長は、社員を信頼しています。
それが社員にも伝わって、一人ひとりが自信を持って仕事をするのです。
このように同質化を求める組織と、個の力を発揮する組織とは、同じ法人の体(てい)をとっているだけで、全く異質なものです。
- 同質な組織よりも、個の力を発揮する組織が求められている
- 個の力を発揮できるかどうかは、社長の意識・行動の影響が大きい
- 社長が多様性のある社員を信頼し、ビジョン・ミッションで束ねている
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