経営者にとって、自社がやっている経営は、ある程度の理解をしているでしょう。ただ、他業界のことを理解したり、抽象度を上げて考えるときには、基本として企業経営の全体像を理解しておくことが大切です。改めて企業経営とは何か?を見てみましょう。
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企業経営の全体像
世の中には様々な企業があります。業種・業態によって行っていることも実に様々です。ただ、以下のことは共通しています。
- 市場から何か(情報・人材・モノ・お金など)を仕入れる
- 仕入れたものを活かして付加価値を生む
- その付加価値を求めている市場に対して提供し、利益を得る
まずは図の右側、何かを調達します。
経営における重要な資源として、人・モノ・カネ(+情報)と良く言われます。
それらを市場から調達するのです。
人の調達の場合
人の場合は調達と言っても、正社員を雇う場合もあれば、派遣社員のこともあるでしょう。
サービス業の場合、その人が持つスキルがそのまま商品になります。
美容院やマッサージなどは分かりやすい例です。
なお会社にとって、株主や銀行は金融資本を提供してくれる存在ですが、従業員を中心とした人は知識資本の提供者です。
良く「会社は誰のものか?」という議論になりますが、ドラッカーは金融資本の提供者のみならず、知識資本の提供者にも目を向けるよう喚起しています。
モノの調達の場合
モノは必要なものを購入します。
小売業の場合は、購入したものをそのまま最終顧客に販売します。
スーパーマーケットやコンビニは、様々な品を揃えることによって、顧客に便利さという価値を提供しています。
製造業の場合は、加工したり組み合わせたりしてから、顧客に販売します。
パソコンメーカーは、CPUやメモリなどを部品メーカーから調達して、組み合わせて販売しています。
お金の調達の場合
お金は企業にとって資金調達の場合があります。
あるいは、株などの金融資産を複数調達し、組み合わせて投資信託のような形に変換して、顧客に販売することもあります。
情報の調達の場合
現代においては情報も貴重な経営資源です。
その企業しか入手できない情報があったとすれば、それは売り物になるでしょう。
ただ、そのような情報は稀です。
一般的な情報を、超分かりやすく編集することによって、新たな価値が生まれるように、
情報を何らかの形に加工することで、顧客が買いたくなる状態になります。
業界ごとの典型例
製造業は、人材と生産設備、そして材料を市場から調達します。
人材と設備を活かして、材料を加工し、取引先や消費者に提供することで利益を得ます。
飲食店では、材料となる食材を買ってきて調理します。調理するのは教育された人材です。
消費者に食事を提供することで利益を得ています。
同じ食材を調達するのでも、スーパーマーケットで生み出す付加価値は異なります。大量に調達した食材を家庭で調理しやすいサイズに小分けにしたり、パッケージングすることで、価値を生み出しています。
銀行などの金融業は、市場からお金を調達し、融資などのサービスを通じて利益を得ています。情報サービス業は、社会の情報を価値ある形にまとめて提供することで、利益を得ています。
このように、様々な商売があるものの「仕入れて・付加価値をつけて・提供する」という点は共通しています。なお、利益を得ることは、事業継続の必須条件であり、十分条件ではありません。
企業を取り巻く環境
このように、何かを市場から仕入れて、市場に対して提供する以上、企業はそれ単体では存在することができません。
企業だけでなく、政府やNPOなども含めたマネジメントの本質を突いたのがドラッカーでした。ドラッカーは著書が多くて、読み解くのも大変です。ただ、その前提になっているのが上図であることを知っておくと、読むのが少しは楽になります。例えば、ここは社会と組織の関係を述べているな。こっちは組織と個人の関係だな、と読み解けるようになるのです。
組織(企業など)は、社会との接点なしに存在することはできません。また組織には、そこで働く人が存在します。社会との関係性、個人との関係性を常に考えること。その上で、人材・材料・お金・情報のようなリソースを、どのように活かすのかを考えること。
これが企業経営の全体像であり、マネジメントの基本です。
- 企業は、情報・人材・材料・お金などを市場から調達する
- 何らかの付加価値を生み出し、それを市場に提供することで利益を得る
- 社会ー組織(企業)ー個人の関係を常に考えることが必要
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