前回は「ひとり情シス」のリスクについてご紹介しました。
「たった1人に任せるのは危ないかもしれない」と感じていただけたと思います。
では、10~30人程度の中小企業において、具体的にどういう体制を組めば良いのでしょうか?
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経営者+情シス+現場を組み合わせる
前回もお伝えしたように、情シスの仕事は多岐に渡ります。
- サポート・ヘルプデスク
- ITインフラの企画、構築、運用、保守
- 情報システムの企画、構築、運用、保守
- 業務プロセス改善
- 事業計画、商品・サービス企画
- その他
どう見ても、現場の情シス(IT)担当が1人で出来る範囲ではありません。
大企業の場合は、これらに対応するために数10~数100人からなる情報システム部門があります。専門子会社がある場合もあります。
しかし10~30人のスモールビジネスにおいては、そんな体制を組めません。
ですから経営者、情シス、現場を組み合わせて、組織全体で対応していくのです。
業務と担当の割り振り
では、具体的な業務の担当割り当てを見てみましょう。
主担当を示すと、下図のようになるでしょう。
上にあるものほど、情シス(IT)担当者の関与具合が減っていきます。
逆に言えば、上のものほど、他の人が主体的に動き、情シス(IT)担当者はサポート的な役割になっていきます。
以下、それぞれの業務における大まかな役割を補足します。
事業計画、商品・サービス企画
10~30人規模の企業では、事業計画、商品・サービス企画は経営者自身の仕事です。
ですから主体的に動くのは経営者。
むしろ「何でここに情シス(IT)担当者が関係あるの?」と疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。現代では、商品・サービスの提供過程で情シス、つまりITツールが関わってきます。
商品をただつくって販売するだけではなく、
- 顧客との接点をどうつくるか?
- 接客でどのような印象を与えたか?
- その後どのような交流をしたか?
- アフターサービスはどのように評価されたか?
というように、顧客体験をトータルで管理しなければなりません。
この体験全てに、ITが関わってくる可能性があります。
例えば、以下のようなものがあるでしょう。
- ホームページやSNS(商品・サービスの発見)
- 問い合わせ(ホームページのフォームやチャット)
- ECサイト(商品の閲覧、購入)
- 予約サイト(サービスの申込)
- スマホアプリ(会員アプリ)
- 顧客情報管理:CRM
このようなITツールを適切に活用しながら上手に整理することで、スムーズな事業計画、商品・サービス企画が実現するかどうかに深くかかわってきます。
ですから全体を設計して、けん引するのは経営者の仕事です。
一方、デジタルツールの選定、構築、運用、保守などは、業務担当者やIT担当者が担うことになります。
情報システムの企画、構築、運用、保守
続いて情報システムについてです。
「情報システム」とは現場で利用されるシステムです。
業界・業種ごとの特性が出てきます。例えば、
- 小売業であればPOSや販売管理システム
- 製造業であれば生産管理システム
- 経理であれば会計システム
というように、現場の要望が色濃く出てくるシステムです。
「情報システム」とは別に、パソコンやスマホ、インターネット・Wi-Fi環境のように、情報システムを利用する前提となるのが「ITインフラ」です。ITインフラは業界・業種の差はほとんどありません。
したがって、情シス(IT)担当者が主体となるのではなく、主体は現場です。
現場が最も目的にかなったITツール・システムを選定し、導入・利用していくことになります。
一方、情シス(IT)担当者は、現場のサポート役となります。
現場だけですと、どうしても部分最適な選択をされてしまいがちだからです。
営業部門は使いやすいけれども、会計ソフトとの連携が全くない。
そんなツールを選んでしまうと、経理に負担をかけてしまうかもしれません。
あるいは、今のITインフラだと使いにくいシステムかもしれません。
そのような部分最適をさけるために全社的なITシステムの視点、全体最適な視点を持って現場をサポートするのが、情シス(IT)担当者の役割になります。
業務プロセス改善以降は、次回の記事に続けます。
- 情シス(IT)の仕事は、経営者・現場・IT担当者の組み合わせで対応する
- 事業計画、商品・サービス企画は、経営者が主担当
- 情報システムは、現場が主担当
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【編集後記】
2015年4月1日に独立しましたので、今日で独立してから丸5年が経ちました。
速いように感じますが、まだまだ変化が足りていないと感じます。
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