前回、受託開発とSESが減っていく理由をお伝えしました。
ただ、新規事業向けの受託開発はむしろ増えていくのでは?と。
この記事では新規事業における受託開発は、大きく異なることをご紹介します。
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「納品」という基準がない
一般的な受託開発
一般的な受託開発では、要件をもらい、それに基づいて開発をしてきます。
(もし要件定義から関わるのだとすれば、請負契約ではなく準委任契約で)
(経済産業省がまとめた情報システム・モデル取引・契約書)
要件定義を支援する場合には、「ITコンサルティング」サービスとして行うことが多いでしょう。
(余談ですが、ここの知見をちゃんと持っているIT企業が少なすぎると感じています)
「受託開発」と言った場合、一般的には要件定義が終わっている状態です。
その要件にもとづき、いかに効率よく・ミスなく・遅延なく開発するか?が重要です。
新規事業の受託開発
一方、新規事業における開発では、要件は仮でしかありません。
新規事業の活動をしながら、顧客が本当に望んでいるものを見極めていくからです。
新規事業の進め方は色々とありますが、その典型例が顧客開発モデルです。
顧客実証のプロセスで、実用最小限の製品(MVP:Minimum Viable Product)を作り、顧客の反応を見ます。
ニーズやビジネスモデルを確かめつつ、必要に応じて軌道修正します。
ここを何度も繰り返すことになりますので、要件は頻繁に変更されます。
言われた通りのソフトウェアを開発するというマインドでは、新規事業の開発には、携わることができません。
「受託」「納品」という言葉自体が、意味をなさないのです。
納品したと思っても、顧客ニーズは常に変わりますし。
ビジネス(課金)モデルを変える必要がある
では、どうすれば良いのでしょうか?
様々な側面がありますが、まずはビジネスモデル面から。
頂いた要件をもとにシステム開発して納品する。そしてお金を頂く。
そういう従来型の受託開発が通用しない以上、ビジネスモデルそのものを変える必要があります。
成功報酬型のモデル
例えば、私の知る、ある企業では、成果報酬型の課金モデルを採用しています。
新規事業の立ち上げ期の料金は最低限レベル。
まだ稼いでない事業なので、資金が苦しいからです。
事業が成長し、稼げるようになったら、そこから報酬をもらうようにしています。
大きく成長すれば、自分たちの報酬も大きくなる。
つまり、「顧客の成功」=「自社の成功」です。
そのため「ウチの役割はここまで」などと小さいことを言う人はおらず、当事者として全力で新規事業を応援しています。
月額課金型のモデル
別の企業は、月額課金型の課金モデルです。
どんなアウトプット(ソフトウェア)を開発しようとも、逆に開発しなくとも、月額は一定。
要件が変わろうが関係なし。
顧客から見れば、一定のエンジニアリソースを確保しつつ、新規事業に集中できます。
支出額の予定も組みやすいので、安心できるモデルとも言えるでしょう。
というわけで、同じシステム開発と言っても、顧客企業との関わり方やビジネスモデルが大きく変わることを知って頂けたらと思います。
- 新規事業では、確定した要件をもらえない
- 変化が激し過ぎて、納品自体にあまり意味がない
- ビジネスモデル自体を大きく変える必要がある
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【編集後記】
「スタディング ITストラテジスト」の講座開発が午後試験対策に移りました。
午前対策とは全く毛色が変わります。
中小企業診断士の2次筆記試験を思い出します。
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