顧客データを整備するのに、まずは取引先(組織)と連絡先(個人)に分けて、データをつくることをお伝えしました。またデータの重複やデータの形式が異なると大変な目に遭うことも。
この記事では構築した顧客データに対して、取引履歴のデータを追加していくことを考えます。またCRMを活用することで得られるメリットについてもご紹介します。
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異なる2つのビジネス
取引や商談の履歴を残す前に、世の中には大きく2つのビジネスがあることをお伝えします。
1つは既に定義された商品・サービスを購入いただくビジネス。もう1つは、ニーズをヒアリングして提案、見積を出すような、毎回提供するものが変わるビジネスです。
私の例で言うと、個別コンサルティング・主催するセミナー・継続コミュニティ・インサイトマップセッションは、決まったメニューがあって、それをお申込みいただいたらサービスを提供する、前者のビジネスです。
一方、企業研修や依頼いただいてセミナーに登壇する講師の場合は、その都度、調整が入ります。どんな目的で、どんな人たちに行う研修・セミナーなのか?主催者が期待する効果は何か?など。人数も場所も、与えられる時間も、そして価格も、その都度、調整が入ります。これは後者のビジネスです。
前者は決まった商品を購入いただくので、顧客の比較検討フェーズに、あまり関与することがありません。しかし後者は、提案したり見積をだしたりなど、顧客とのやり取りが多くなります。
履歴を取ってデータ化する視点で見ると、この2つは全く異なるとして、区別しておいた方が良いでしょう。
商談のデータ項目
データを蓄積する視点から見ると、前者のビジネスは「登録してある既存商品を販売するだけ」。後者のビジネスは、「顧客とのやり取りの履歴を取る商談」という形になります。もちろん、その複合要素もあるのですが、ここでは話をシンプルにするために、置いておきます。
顧客データだけなら表計算ソフトに蓄積できますが、商談のやり取りまで含むと、さすがに表計算ソフトだけでは厳しくなってきます。そろそろCRMを活用するときかもしれません。
ここでは、私自身も利用しており、お客様へ活用支援もしているzoho CRMの画面から、データ項目を確認してみましょう。
いくつかのポイントをお伝えしつつ、ご紹介します。
- 商談の担当者
社内で営業担当が複数いる場合には、担当者ごとの予算達成状況を見たりします。そのため、各案件には担当者が必要になります。 - 総額
商談の初期段階では総額が分からなくとも、ニーズをヒアリングし、提案・見積と段階を経ることに、総額が分かるようになります。 - 商談名
- 完了予定日
受注ないしは売上予定日を意識しなければ、受注日も売上日も分かりません。無駄に商談を長引かせないためにも完了予定日を意識する必要があります。 - 取引先名
これまでご紹介してきた取引先(組織)です。当然ですが、あらゆる商談は顧客となる組織に紐づきます。 - ステージ
商談のステージが定義されていない会社が実に多いです。後ほど解説を加えます。 - 種類
既存ビジネスか、新しいビジネスか - 確度
確度は営業担当者が入力する項目ではありません。「ステージ」が決まると自動で入力される項目です。 - 売上の期待値
「総額」と上記「確度」(つまりステージ)が決まると、その掛け算として売上の期待値が自動的に出てきます。 - 連絡先名
取引先(組織)に属する、この商談の担当者(個人)です。 - ※一部データ項目は省略しました
商談ステージのない会社が多い
上記の「ステージ」は、zoho CRMでは標準で以下のような選択肢があります。
- 条件確認(10)
- ニーズの分析(20)
- 提案(40)
- 意思決定(60)
- 見積もりの提示(75)
- 交渉(90)
- 受注(100)
- 失注(0)
- 競合選択による失注(0)
()内の数字は上記の期待値です。総額100万円の案件で「条件確認」のステージなら、売上の期待値は10万円ということになります。
これはあくまでもzoho CRMの標準設定ですから、必要に応じて設定を変えることになります。ただそれ以前に、現時点で商談のステージ設定がない、つまり営業プロセスが存在しない企業が多いのが実態です。
CRMを導入することで得られるメリットの1つは、営業プロセスを決めて運用できるようになることです。新人にいきなり「商談に行ってこい」「先輩にくっついて観察してこい」と言っても、何をすれば良いのか、分かりません。
しかし、このように営業プロセスが見える化されていると
- 条件は確認したか?
- 顧客のニーズはヒアリングしたか?
- ニーズに基づいた提案をしたか?
- 顧客の意思は決まったか?(決定権者のOKが出ているか)
というように組織全員が共通の認識を持って商談を進めていくことができます。
逆に言うと、商談データを記録する前に、仮でも良いので営業プロセスを定義して、記録を取れるようにしていくことが大切です。データが溜まってくると、躓きやすいステージがどこか?など、改善ができるようになっていきます。
- 世の中には「商品」を売るだけのビジネスと、個別の提案が必要な「商談」がある
- 商談のデータ項目には、取引先(組織)・連絡先(個人)・ステージなどがある
- ステージを活用するには、営業プロセスを定義しなければならない
- 営業プロセスを決めて運用していけることがCRMを活用するメリットの1つ
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